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「侍ジャパンのデータ分析…難しい」「大谷翔平は再現性が高い」元WBC敏腕スコアラーが語るウラ話「野村克也さんのID野球」の“普遍的な要素”とは 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2026/03/05 11:03

「侍ジャパンのデータ分析…難しい」「大谷翔平は再現性が高い」元WBC敏腕スコアラーが語るウラ話「野村克也さんのID野球」の“普遍的な要素”とは<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2017年WBCでスコアラーを務めた際の志田宗大氏

「データ会社が入っていて、そこから大量にデータが届きます。全選手分のデータを僕が見て、分析をしてレポートを書きます。僕は打者担当だったので、相手投手についてどういう特徴があるかとか、それを17チーム分作成しました。WBCは3月開幕ですが、前年10月ころから作成して、ぎりぎり間に合うような量でした」

――すでに「トラックマン(弾道測定器)」は全球団に入っていましたか?

「2017年の段階では、日本は何チームか入っているんですけど全チームではありませんでした。そもそも情報は共有されてない時代でした。だから今みたいに投手の『球質』などを可視化することができない時代でしたね」

大谷は「とにかく再現性が高い選手」

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――この時のWBCでは当初、大谷翔平選手も参加を表明していました。右足首のけがで直前に辞退しましたが。

「どんな打者なのか興味がありました。大谷選手と何度かやり取りする中で、配球を予測するタイプではなくて、ボールの軌道をイメージしてアプローチするタイプなんだということがわかりました。イメージした軌道のボールが来たらイメージしたバッティングができる能力がありました。情報と自分の感覚を一致させる能力が、とてつもなく高いんです。とにかく再現性が高い選手だなと感じました」

――その後、志田さんは巨人のスコアラー、中日のアナリストを歴任して、今年からライブリッツ株式会社に入社しました。

「自分の中でプロのスコアラーという面では、天井まで行ってしまったのかなという気がしていました。スコアラーとしてできることの限界を迎えているな、という感覚もあって、これからどこに進んでいけばいいのか、と思っていました。

 もともとライブリッツがNPB球団にシステムを提供する会社だということは知っていました。青学大の後輩の久古健太郎さんがいることも知っていました。

 久古さんはライブリッツでアマチュア野球に対して、データを計測し分析するサービスを始めていました。僕の野球人生も、アマチュア時代があり今の自分があるという部分が大きいので、アマチュア野球をサポートできる仕事って魅力的だなと思っていました」

情報を「人に上手く伝える」ことが得意かも

――ここまでお話を聞いても志田さんは「言葉」で生きているという印象です。説明能力というか。

「確かにそれが僕のセールスポイントなのでしょうか。情報をろ過して人に上手く伝えるという部分は得意かもしれませんね。アマチュア球界は、それほどデータがそろっているわけではありません。先ほども言いましたが、僕はデータが十分にない状況でも、少ないデータを活用して結果に結びつけるノウハウを持っているので、その部分で貢献したいと思っています」

 志田宗大氏の、丁寧で優しい話しぶりを聞いていると、「データ野球」のポイントは、データを伝え、説明する「人」にあるということを実感する。

 2月27日の強化試合「侍ジャパン対中日」で、志田氏は副音声で五十嵐亮太と組んで、実にわかりやすいデータ解説をした。アマチュア野球のすそ野を広げるため、そして「データ野球」の魅力を広げるために、新しい地平で活躍してほしい。

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