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フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
名作「リュウイチはリクを落とさなかった」木原龍一が“リフトの失敗”で苦しんだ本当の理由…コーチがついに明かす大復活ウラ側「リクに感銘を受けた」《五輪後初の単独インタビュー》
text by

田村明子Akiko Tamura
photograph bySunao Noto/JMPA
posted2026/02/28 11:03
ミラノ五輪フリーで会心の演技を見せた三浦璃来と木原龍一
まさかのSPに「現実なのか、悪夢なのか…?」
だが個人戦のSPでは、得意のリフトの途中で二人の手がずれてバランスを崩してしまうという、かつてなかったミス。SP5位という予想外のスタートに、コーチはどのような心境だったのか。
「あれは本当に、練習でも見たことのないミスでした。あの瞬間何が起きたのか、これが現実なのか、悪夢なのか? という様々な感情が湧き上がりました。でも彼らのために、気持ちを強く持たなくてはなりませんでした。スコアを見た時、まだ終わりではない、と思って彼らにそう伝えたんです。我々のフリープログラムは、他のどのペアよりも高いスコアが取れる内容に作ってありましたから。ベストな立ち位置ではなかったけれど、でもまだ終わりではなかったのです」
マルコットコーチは、あのミスをどのように分析したのだろうか。
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「見た限りでは、ポジションのほんのちょっとしたずれ、あるいはエネルギーをつぎ込みすぎて、勢いがつきすぎたのかもしれません」
「リュウイチに言ったのです」ミス直後の会話
「リュウイチは、何が起きたのか理解しようとしていましたが、私は理解する必要などない、そのエネルギーをフリーへ向けよう、と言ったのです。またフリーには同じ種類のリフトが入っていないことも、言いました。だから今はこのことを忘れて、明日どうやったらベストな演技ができるかに集中しようと言ったのです。私自身、自分にもそう言い聞かせていました。分析して理解したとしても、過去に戻れるわけではありませんから」
SP演技後の木原選手は、かつて見たことがないほど打ちひしがれているように見えた。
「もちろん彼は、衝撃を受けていました。全くの予想外でしたから。彼らのリフトは世界一だと私は思っていますが、普段はポイントを稼ぐことができる得意技だったのに、ポイントを失ってしまった。あの時はとても苦しかったです。ペアで(トップとの)7ポイントというのは大きいですから」

