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“初のタイトル戦3連敗”藤井聡太23歳「不調というより」は本当か…元A級棋士がズバリ「永瀬拓矢、増田康宏の工夫が」「大棋士ほど逆境に強い」
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田丸昇Noboru Tamaru
photograph byKeiji Ishikawa
posted2026/02/28 06:00
冬の王将戦、棋王戦で厳しい戦いを強いられている藤井聡太六冠。果たして“不調説”は本当なのか
永瀬は藤井との2日制タイトル戦の第1局で初めて勝った。
一方の藤井は2023年の竜王戦から25年の竜王戦まで、タイトル戦の第1局で15連勝していたが、26年の王将戦で止まった。
王将戦第2局(1月24、25日=京都府京都市)は、角換わりから永瀬の早繰り銀の戦型。藤井は永瀬の端攻めに玉で力強く受け、終盤の寄せ合いを制して勝った。第3局(2月3、4日=東京都立川市)は、藤井の金が永瀬の玉頭に単騎で進む意表を突く展開になった。その後は攻め合いに進んだが、永瀬は封じ手直前の局面まで準備していたと終局後に語った。
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普段からどれだけ研究しているのかと、私こと田丸は驚かされた。そして、永瀬が9筋に打った角の王手が攻防の好手で、最後は竜と馬を活用して即詰みに討ち取った。会心の内容の将棋だった。
その結果、永瀬は2日制タイトル戦の第3局終了時点で、藤井に勝ち越した初めての棋士となった。
増田も棋王戦第1局で力戦調に持ち込んで
第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負は、前期に続いて藤井棋王に増田康宏八段(28)が挑戦した。第1局は2月8日に愛媛県松山市で行われた。持ち時間は各4時間。増田は前期棋王戦で3連敗して敗退した。その苦い経験から、終盤で持ち時間がないと勝てないことがわかったという。
第1局の戦型は相掛かり。増田は後手番ながら用意してきた作戦で力戦調に持ち込んだ。中盤では持ち時間を残すために、直感でテンポよく指した。そして終盤で時間に余裕があったので、藤井の追撃をかわして一手勝ちを収めた。藤井は「序盤で失敗し、先手番として消極的な展開になった」と敗因を語った。
王将戦第4局は2月17、18日に和歌山県和歌山市で行われた。先手番の藤井は角換わり腰掛け銀の戦型を採った。今シリーズはいずれも先手番が勝っている。
永瀬は研究範囲なのか短時間で指し進めたが、中盤で54分、46分と連続長考した。後者の桂打ちは果断の一手で、後手番ながら攻勢に出ていった。藤井は力強く応戦し、後手玉に嫌みをつけた。永瀬は冷静に対応すると、敵陣に飛車を打って先手玉に迫った。そして着実な手順で寄せ切った。
永瀬は本局に勝って3勝1敗とし、王将奪取と藤井打倒まであと1勝と迫った。
藤井が語った「不調というよりも」
藤井は約10年間にわたる公式戦の対局で、3連敗したことは一度もない。しかし今年2月の王将戦第2局、第3局、棋王戦第1局で、タイトル戦で初めて3連敗を喫した。その結果、並行して行われている両タイトル戦で、いずれも負けが先行する事態に追い込まれた。
藤井の「不調説」が流れている。

