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フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
「りくりゅうの演技は、完成度の神」“神解説”高橋成美が改めて語る「宇宙一」の大逆転劇「今もまだ、表現する言葉が見つかりません(笑)」
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2026/02/24 17:00
帰国した高橋成美さんが、ミラノ現地からの「神解説」とりくりゅうの演技の凄みを改めて語ってくれた
「世界一、いや宇宙一の演技」
「五輪は何が起こるかわからないので、金メダルだなと思わないようにしていました。でも正直、りくりゅうの演技は世界一、いや宇宙一だなと思いました(笑)。
彼らのプログラムには4回転が入っていないんですが、その大技の力を借りずとも世界歴代1位の得点が取れた。りくりゅうは4分間の演技の中で“抜いている”ところがひとつもなく、シンプルにきれいで、完成度が非常に高かったからです。完成度の神様でしたね」
『グラディエーター』という選曲に合わせて、すべてが計算し尽くされたプログラムを、迷いなく滑れることが生んだ、究極の完成度。
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ペア競技にはペアならではの独特の難しさがある。たとえば男性と女性はスピードが違うので、リンクを大きくカバーして滑る際には男性が大回りをして、女性が最短距離を取って動きのタイミングを合わせる。あるいはジャンプでは男性がほんの少しだけ早く跳び、女性があとから跳ぶことで、滞空時間を合わせて同時に着氷する。
動きの「シンクロ」には二人の呼吸を合わせることが必要だが、ただ同じことをすればいいのではなく、こうして絶妙にズラしながら合わせる作業こそが重要なのだ。二人はこうした地道な作業を7年間追求し続けてきた。その完成度を追い求めた長い道のりの果てに、りくりゅうの胸に金メダルが輝いた。
「今も表現する言葉が見つからないです」
その瞬間、高橋さんは感極まって、涙声でこう言った。
「もう最高の気分です。でも、それを表現する日本語が見つからない!!」
帰国し、冷静になった今、その言葉は見つかったのだろうか。
「あのときは、もどかしかったですね。でも、今もまだいい言葉が見つからないです(笑)」
選手の演技を言葉にするのが解説の仕事。でも、このりくりゅうの金メダルだけは、言葉で表現できないままでもいいのではないだろうか。そのくらい神がかった、まさに宇宙一の4分間だった。
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