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フィギュアスケートPRESSBACK NUMBER
「りくりゅうの演技は、完成度の神」“神解説”高橋成美が改めて語る「宇宙一」の大逆転劇「今もまだ、表現する言葉が見つかりません(笑)」
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2026/02/24 17:00
帰国した高橋成美さんが、ミラノ現地からの「神解説」とりくりゅうの演技の凄みを改めて語ってくれた
「りくりゅうのリフトは、重力を感じないんです。ブレずにスピードに乗ってリフトしていくんですが、それを実現しているのは、木原選手のフィジカルの強さと非常に高いスケーティングスキルです。三浦選手の体幹の強さも大きいですね。さらに上げるタイミングも重要になります。上げる際にタイミングが合わないと、ほぼ筋肉に頼り切ってしまうので高さもスピードも出ないんです」
リフトの際にタイミングと呼吸を完璧に合わせ、三浦が上に跳ぶ力を利用して、その延長線上で上にあげている。そのため、筋肉に負担がかからない効率的なリフトを実現できるのだ、という。
「でも、リフトで最も大事なのは、信頼関係です。どんなことがあっても、相手が下で支えてくれるという信頼関係があるから、あのスピードでも恐怖心を覚えることなく、しっかりと姿勢を維持できている。これはリフトに限らずですが、ふたりの信頼関係の強さがすべてのエレメンツにつながっていると思います」
木原選手はもともと落ち込みやすい性格
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とはいえ、五輪の大舞台で、その最大の武器でミスを犯してしまった。木原は演技が終わった直後から頭を何度も振り、採点を待つ間も涙を見せていた。傍目には、メンタルが崩壊してしまったのではないか、と心配になるほどの落ち込みようだった。
「木原選手はもともと落ち込みやすい性格なんです。私とペアを組んでいた時も、よく落ち込んでいました。でも、その分しっかりと反省して、『次がある』と前を向いていける強い心を持っているんです。今回、昔みたいな極度の落ち込みが出たのは、それだけ五輪に懸ける思いが強かったからだと思います。
でも、さんざん泣いて、最後フリーの演技に立った時は、別人になっていましたからね。もう超人的といいますか(笑)、すごかった。そこまで戻れたのは、三浦選手のおかげです。『璃来ちゃんのおかげ』って木原選手も言っていましたが、三浦選手がいなかったら立ち直ることができず、フリーに間に合わなかったかもしれないですね」
二人には9歳の年齢差があるが、ショートからフリーまでの短時間で、年下の三浦が“姉御肌”で木原の立て直しを支えたという。ここ一番で見せたメンタルの強さが、三浦の今季の成長の跡だ、と高橋さんは見る。


