2025年M-1・連続インタビューBACK NUMBER
「僕らは10回近く“解散”している」M-1ラストイヤー・ヤーレンズが明かす、売れるまでの不仲期間「“もう解散だ”…1カ月間の空白」
text by

中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/02/23 11:18
結成14年、3年連続でM-1決勝に出場したヤーレンズ。楢原真樹(ボケ担当、39歳、写真左)と出井隼之介(ツッコミ担当、38歳)
――最下位だっためぞんもボディービルダー、つまり漫才師としては、正解だったということですよね。
出井 素晴らしい漫才だったと思いますよ。M-1の決勝に行ってなくたって、おもしろい人、いっぱいますから。
楢原 だからM-1がすべてではないんですよ。そう思ってないと。
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――ただ、M-1王者になるというあまりに魅力的な夢に抗えない気持ちもわかります。人生を懸けたくなってしまうというか。
楢原 さっきも言いましたけど、年末のオバケ視聴率番組なんで。その影響力は半端じゃないんで。かといって、M-1に特化して、ウケるからといってやってるだけじゃ突き抜けられない。漫才って、結局、自分たちのやりたいことをどうやって伝えるかだけの作業だと思うんですよ。そこにニンが出てくるし、色気も出てくるから、見ている人の心に刺さる。僕らは詰め込み過ぎだと言われることもあるんですけど、思いついたことをいっぱい言いたいんですよ。
「田村さん、もうちょっと動きましょう」と同じ気持ち
――今大会、楢原さんがネタ中にMCの今田(耕司)さんや審査員の海原ともこさんをいじったりしたことに対して、審査員からは賛否両論が出ました。実は出井さんは、M-1でああいういじりをするのは反対だったんですよね。でも、事前にそういうアドリブは封印しようとは言わなかった。やるだろうなと思いつつも。
出井 それを言っちゃったら、漫才じゃなくなっちゃうじゃないですか。これ、伝わらないと思ってしゃべりますけど、PRIDE終焉期に桜庭和志と田村潔司が因縁の対決を迎えたときがあって。
楢原 ああ、伝わらないな。それは(笑)。
出井 終生のライバルが互いにベテランになって、ようやく相まみえるという、ファン待望のカードだったんです。ただ、試合が始まると膠着時間が長過ぎて、途中、桜庭が田村に「田村さん、もうちょっと動きましょう」って下から言おうとしたらしいんです。でも、それを言っちゃあ格闘技じゃなくなると思って言わなかった、と。それと、まったく同じ気持ちですね。
楢原 NumberWebだから、ぎりぎり伝わるかもな。僕は余白を大事にしたいんです。こいつ、本番になったら、何を言うかわからないぞ、という。ただ、中には一言一句、台本通りにやる漫才師もいる。審査員のミルクボーイ駒場(孝)さんは(出演者いじりは)嫌だったんでしょうね。
「僕以外だったら無理だと思いますよ。この人は」
――駒場さんは、あそこのいじりは不要だったのではないかと言っていましたね。


