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「ジャンプはオリンピックしか観られていない…」小林陵侑が4年前に明かしていた“危機感”「やっぱり、飛ぶのが楽しいから」
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2026/02/10 17:01
ジャンプ男子のエース、小林陵侑
もう一度、フォームも含め、ひとつひとつ見つめ直した。以前よりも低くなっていた助走時の姿勢の修正を図るなど、細かなことに取り組んだ。復活というよりも、成長を期しての取り組みだった。
その成果として、今季はジャンプ週間総合優勝をはじめW杯で7勝をあげるなど、再び、王者たる強さを示した。だからこそ本人が「ハイプレッシャー」と表現するほどの重圧を感じたのだろうが、それでも押しつぶされることがなかったのは、4年間、紆余曲折を経ながらも確固とした土台を築けていたからだ。
北京五輪までの期間で「自分も変化した」
「無力さを感じた前回に対し、今回は成果をあげたと言える大会ですね。そう思えば、前回の平昌が自分を成長させてくれたなと思います。まあ、今回は自分の力が、その力通りに出たんじゃないですかね」
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北京に臨むまでの期間に、自分も変化した。そう感じると言う。
「ちゃんとトップジャンパーの一人であるという自覚が持てるようになったし、自信が持てるようになったことですね」
揺らぐことのない自覚と自信は、ノーマルヒル以降の試合でも貫かれていた。
翌日に行なわれた混合団体では、2本ともにアンカーではトップのジャンプを披露した。この試合は髙梨沙羅がスーツの規定違反で1回目が無効となり、チームとしては思いがけないハンディを背負って進んだ。
その逆境の中にあって、チームを牽引するパフォーマンスを見せつつ、髙梨を励ます姿は多くの人の脳裡に刻まれた。日本のエースでありチームの中心であるという自覚が、小林の振舞いには滲んだ。
3つ目の試合はラージヒル。ノーマルヒルとの2冠を狙い、好ジャンプを見せつつ、銀メダルという結果で終えた。
「完敗です」コメントの清々しさ
「完敗です」
小林はひとこと、語る。
「すごくうれしい気持ちと、金メダルを逃したことに対してちょっと悔しい気持ちと」
でも、満足が上回る。
「パフォーマンス的にもまとまった、いいジャンプができました」
失敗したわけではない。2位は相手がそれ以上によかっただけだ。悔しさはあっても、結果をストレートに受け止めていた。
