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「あれ、終わったのか」中谷潤人がいま明かす”思わぬ苦戦”の反省…井上尚弥との対戦に向け収穫はあった?「こんなに頭を使って戦う経験ができたのは…」

posted2026/02/02 17:01

 
「あれ、終わったのか」中谷潤人がいま明かす”思わぬ苦戦”の反省…井上尚弥との対戦に向け収穫はあった?「こんなに頭を使って戦う経験ができたのは…」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

スーパーバンタム級初戦で思わぬ苦戦を強いられた中谷潤人が12Rにわたる激闘の舞台裏を明かしたインタビュー(前編)

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph by

Shigeki Yamamoto

 2025年12月27日にサウジアラビア・リヤドで行われた『ナイト・オブ・ザ・サムライ』。中谷潤人はスーパーバンタム級初戦でWBC10位のセバスチャン・エルナンデスに予想外の苦戦を強いられた。12ラウンドにわたるこの激闘について、中谷潤人はどう捉えているのか。NumberWebインタビューで本人が舞台裏を明かした。<全2回の前編/後編へ>

採点のことは正直気にしていなかった

 腫れ上がっていた右目は激闘の余韻を消し去って、すっかり元どおりに治っていた。

 WBC・IBF世界バンタム級王座を返上してスーパーバンタム級に上げた“ビッグバン”中谷潤人は2025年12月27日、サウジアラビアのリヤドで開催された「ナイト・オブ・ザ・サムライ」で20戦全勝18KOのメキシカン、セバスチャン・エルナンデスに苦戦を強いられながらも3-0の判定勝ちを収めた。5月、東京ドームでの対戦が有力視される4団体統一世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥との対戦に向け、所属するM.Tボクシングジムで早速トレーニングを再開している。

 激闘によるダメージが心配されたが、バッティングを受けた右目周辺の骨折などもなかった。「試合で出た反省点」を「成長につなげられる」として、トレーニングに集中するいつもの中谷がいた。

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 良薬は口に苦し――。あまりに打たれ強い相手に苦戦したからこそ得たものがあった。

 最終12ラウンド、終了を告げるゴングが鳴ると、中谷は一度コーナーに戻ろうとした。直後、試合が終わったと気づいてお互いに健闘を称えるようにエルナンデスと抱き合っている。そのことを尋ねると中谷はそっと苦笑いを浮かべた。

「あと1ラウンドだなと思っていたら、あれ、終わったのか、と。もしラウンドが進んでいても全然戦えましたね」

 ラウンド数を間違えていたとなると、冷静じゃなかったと見る向きもあるだろう。だが彼の言葉を聞くと、それだけ戦いにのめり込んでいたから、と受け取れる。

「採点のことは正直気にしていなかったです。(前に出てくる)エルナンデス選手が止まらないので、どうやったら止められるんだってずっと考えて、そこだけにフォーカスしていました。コーナーからアドバイスを受けながら、戦いの最中に考える時間も長くて。リング上ではあんまり考えないほうがいいし、感覚を大切にしたほうがいいとは思います。でもこんなに頭を使いながら戦うっていう経験ができたのも良かったんじゃないかなって」

 MBS制作のドキュメンタリー番組「情熱大陸」(1月11日放送)で取り上げられた中谷は試合後に「戦っていて楽しかった」と番組のカメラに語っている。強がりでもなんでもない。クロスゲームの様相を呈しているなら焦慮があってもおかしくないのに、ここまで頭を使うシチュエーションに没頭していたのだ。

序盤の3Rまでは中谷が主導権を握るが…

 スーパーバンタム級初戦となった戦いを、あらためて最初のラウンドから振り返ってもらうことにした。ジャッジの採点は115―113が2者、118-110が1者。現地のリングサイドで撮影した世界的ボクシングカメラマンの福田直樹氏が「当たっていたパンチの質で中谷選手に優位性がある」「採点としては115―113、もしくは116―112もあるかな」とNumber WEBの記事で記しているが、筆者も同じ感想である。パンチがいい形で良く当たっていただけに、「止められなかった」のは階級の壁なのか、それともエルナンデスの打たれ強さなのか、中谷が受けた感覚を知りたかった。

【次ページ】 「効いたな」というパンチは何度かあった

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