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《京大・阪大に合格者も》偏差値67“奈良の公立進学校”野球部が県ベスト4で「21世紀枠候補」選出のナゼ…部員の「甲子園が目標じゃなくても…」の真意は?
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田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2026/01/28 11:00
昨秋の奈良県大会でベスト4に食い込み、センバツ21世紀枠候補に選出された郡山高校。公立の進学校という環境下でいかにして強さを保っているのか
ミーティングを取り仕切っていたキャプテンの田副が、チームの意志をこうまとめる。
「興味の向け方が違っていただけで、みんな『甲子園に行きたくないわけじゃない』っていう。方向性が一緒だっていうことがわかったんで、いいミーティングだったと思います」
禅問答のような選手ミーティングが、3日間にわたって合計6時間以上、展開された。その結果、目標は3つに定まった。
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夏の甲子園出場。秋に大敗した智辯学園へのリベンジ。そして、みんなから本気で応援してもらい、感動されるチームになる、だ。
ほとんど発言せず、その場を見守っていた岡野が「面白かったですよ」と振り返る。
「そこが、この子らの努力型のところやと思うんです。僕なんかも『甲子園、目指さへんの?』って思いましたけど、『みんな一緒の気持ちだよね』と、全員が納得できひんかったら一生、話しているくらいの勢いでしたから」
文武両道の伝統校。
甲子園から遠ざかり、部員数の減少という憂き目を経験しながらも、一歩ずつ着実に前へと進み、昨秋は県ベスト4となった。21世紀枠の最終候補に選出されたのは、紛れもなく郡山の歩みが評価されたからである。
だからこそ、監督である岡野も浮足立つことなく、泰然自若でセンバツ出場校が発表される1月30日を迎えられる。
「センバツに選ばれなかったとしても、あの子たちはそんなにブレへんのちゃうかなって思っています。それまでの成長が無駄になるわけではないことをわかっているんで」
「古豪」ではなく「強豪」と呼ばれるように
キャプテンの田副はこう強調する。
「なんか『昔は強かった』ってニュアンスなんで『古豪』って呼ばれるのが好きじゃなくて。昔から強い郡山。『強豪』って呼ばれるようになるために、『甲子園でも戦えるチームやな』と思われるように頑張りたいです」
かように選手も監督も意気軒昂な一方で、奈良には智弁学園や天理など全国的にも有名な強豪私学も多い。そういったチームと比べれば、公立進学校という時点でリクルート面でのハンデはどうしてもある。
そんな中で、なぜ郡山はここまで強さを維持できているのだろうか。そこには、岡野監督を中心としたチームの「意外な指導スタイル」があるのだという。
<次回へつづく>

