野球クロスロードBACK NUMBER
《京大・阪大に合格者も》偏差値67“奈良の公立進学校”野球部が県ベスト4で「21世紀枠候補」選出のナゼ…部員の「甲子園が目標じゃなくても…」の真意は?
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2026/01/28 11:00
昨秋の奈良県大会でベスト4に食い込み、センバツ21世紀枠候補に選出された郡山高校。公立の進学校という環境下でいかにして強さを保っているのか
なぜなら、同校には奈良県トップクラスの進学校というブランド力もあるからだ。岡野が高校時代の学業との両立を懐かしむ。
「僕らのときはグラウンドのバックネット裏に机が置いてあって、赤点を取った部員は『追試に合格するまでここで勉強しろ』と。ユニフォームには着替えるんですけど、練習に入ることなくそこで勉強(笑)。僕はなんとか回避できていましたけど、やっている部員は地獄だったでしょうね。ここに赴任してからはその習慣がなくなっていたんで、時代の変化を感じてしまいます」
現在はマネージャーを含め1、2年生の部員は35人。しかし、野球部を引退した3年生が9人だったように、近年の郡山は1学年10人を切る年も珍しくなかったという。そのため、登録人数20人が揃わないなか公式戦を戦ったこともあったほどだ。
ADVERTISEMENT
奈良県の公立校は基本的に推薦入試がないため「野球がうまいから」と、生徒を受け入れることはできない。そんななか、郡山では文武両道を志した生徒が野球部の門を叩く。
現キャプテンの田副皓大もそのひとりだ。伝統校で腕を磨くことを決意した彼の言動を知れば、郡山の血が今も流れることがわかる。
「ちっちゃい頃から、親とかに『昔、甲子園に出ていた』って聞いていて。僕は勉強と野球をどっちもしたいんで郡山に来ました」
現時点で国公立大学への進学を目指す田副は、進学塾に通っていない。その代わり、平日は全体練習後の自主練習で汗を流す。翌朝は5時45分に起床して30分間、机に向かう。身支度を整えて登校してからも1時間、自習を行うという。田副はそうやって文武両道の成立を心掛けているというのだ。
野球部から京阪神の国公立や難関私大への進学者も
恐縮とも不満げともとれる表情を見せながら、学校での成績を「上位3分の1……の下くらいですかね」と言う田副だが、自身の行動理念はこのように強く語るのだ。
「練習量は多いんですけど、勉強ができないことへの言い訳にしたらかっこ悪いなって」
田副のような郡山プライドを心に宿す野球部員は少なくない。過去には京都大学へ進んだ者。進路決定時期の模試でE判定ながら神戸大学への合格を叶えた者。「野球を続けたい」と、あえて浪人の道を選び慶應大学に進んだ者など、彼らは気骨を体現する。

