濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「目が飛んでた」RENAが奪った“衝撃のダウン”その後の真実…伊澤星花とのRIZIN因縁マッチは、なぜ“名勝負”になったのか? 勝敗を分けた「追撃の選択」
text by

橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2026/01/04 11:01
RENAの左フックが伊澤星花の顔面を捉えた瞬間
「目が飛んでた」RENAが奪った“衝撃のダウン”
大会前日の公開計量で握手を求め、反応を見たいとRENAは言っていた。そう言われて握手できるわけがないと伊澤。RENAは手を差し出したが、伊澤は肩を押して拒否した。逆に試合開始直前、リング上でのグローブタッチはRENAが無視する。
絵に描いたような“因縁マッチ”だが、試合は舌戦を上回る激しさになった。ゴングが鳴るとお互いアグレッシブに打撃を出し合う。テンポの速い攻防の中で、RENAの左フックがヒットした。伊澤はダウン。試合後に伊澤のセコンドが「目が飛んでた」と言うほどの大ダメージだった。
キャリア全勝の伊澤に対し、RENAは1年半ぶりの復帰戦。下馬評で伊澤が有利なのはRENAも認めていたことだ。それでもRENAが“絶対王者”をダウンさせた。驚愕の一撃だった。
ADVERTISEMENT
そして、その直後が勝負の分かれ目だった。様子を見ながら追撃のパウンドを落とすRENAに、伊澤は下から腕ひしぎ十字固めを狙う。RENAは立ち上がって伊澤の足を蹴る。さらに飛び上がっての踏みつけも。
時間が経つうちにダメージから回復してきたのか、伊澤はRENAの攻撃をしのぎ切る。スタンドに戻ると組み付いてテイクダウンし、パウンドからバックを奪う。チョークは1ラウンド終了のゴングに阻まれたものの、2ラウンドもテイクダウンに成功。RENAの動きに合わせてフロントチョークを極めた。鮮やかな逆転劇だった。
ダウン奪取後、RENAはなぜ攻めきれなかったか?
試合前は“因縁マッチ”として話題になったチャンピオンシップだが、終わってみれば“名勝負”として語られるものになった。言い換えるなら“敗者も輝いた試合”だ。
以前から「伊澤選手を倒せるのは私しかいない」とRENAは言っていた。敗れはしたが、その言葉が間違いだったというわけではないことを証明したのだ。
ダウンさせた後の攻撃、その選択が少し違っていれば、勝敗も逆だったかもしれない。試合後のRENAはこう振り返った。
「メチャクチャ効いてるのが分かったので、“終わった、勝った”とちょっと思った自分もいて。あと4、5発打ち込んでいれば勝てたんじゃないかと。でも行けなかったというのもあるので悔しいですね」
ダウンの直後、RENAの追撃には少し間があいた。やはり伊澤の寝技を警戒する部分があったという。伊澤はダウンしたことで自分のやるべきこと=組み技にフォーカスできた。
「ダウンしなかったら、打撃(の攻防)を長く続けていたかもしれない」
RENAにはグラウンドで追撃するのではなく、ダメージの残る伊澤をスタンドに戻してKOを狙う選択肢もあったはずだが、それも難しい判断だった。
「メチャクチャ悩みましたね。足を蹴った瞬間も効いたと感じたので、もうちょい足を削ろうかとか、いろいろなことを考えて。そうですね、難しい」




