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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「三振が多くても…」村上宗隆がMLB界隈でなぜ評価分かれた? 電撃決定ホワイトソックスが望む理想の再建シナリオ「本拠地はホームランが出やすい球場だ」
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byImagn/Reuters/AFLO
posted2025/12/26 11:05
本拠地レート・フィールドを笑顔で後にした村上宗隆。来シーズンへの期待が高まる
「打線の組み方を考えると、やはりマイドロス、ティール、モンゴメリーが上位打線を構成しそう。そこからムラカミ、ロバートJr.、ミゲール・バルガスが続き、ムラカミは4番、5番、あるいは6番という位置も考えられる。左右の組み合わせ次第でも変わるだろう。彼がもたらすもう一つの大きな価値は、左の長距離砲である点だ。これまでの打線は右打者に偏っていた。マイドロス、ロバートJr.、バルガスはいずれも右打ちだ。(コルソン・)モンゴメリーは左、(捕手のエドガー・)クエロはスイッチヒッター。そしてムラカミは左打者で、打線のバランスをより良い形で取ることができる」
この打線の中で、村上に求められているものが本塁打であることは誰の目にも明白だ。昨季のホワイトソックスはチーム全体で165本塁打。The Athleticの記事内では「チーム最多の本塁打を打ったのは誰か?」という問いがトリビアになっていたくらいで、本塁打全盛の現代メジャーでこのパンチ力の乏しさは致命的だった(トリビアの答えはレニン・ソーサの22本)。端的にいって、ホワイトソックスが村上を魅力に感じた理由は2022年に56本塁打を放ったパワーにある。
打率2割前半でもホームラン30本
三振率の高さ、速球に強くない点は村上の懸念材料として挙げられており、実際に高打率は難しいかもしれない。ただ、打率が2割台前半でも、三振が多くとも、30〜40 本塁打を打てばすべては正当化される。それが今のアメリカ野球であり、そういった意味で村上はメジャーに適した打者とも考えられる。ポープ記者はホワイトソックスの本拠地であるレート・フィールドへのフィットの良さも指摘していた。
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「まずは彼のパワーがどれだけ通用するかを見ることになる。簡単なことではないし、適応期間も必要になるが、このチームにはムラカミのように30本以上を打てる可能性のある選手が必要だ。本拠地も本塁打が出やすい球場だ。最近はそういうタイプの打者がいなかったが、昨季(コルソン・)モンゴメリーが昇格して、70試合強で21本塁打を打ったことが示しているように、球場の条件を生かすことはできる。過去にはアダム・ダンのように、ここで多くの本塁打を打った左打者もいた。左の強打者が力を発揮できる球場であることは確かで、そこも楽しみな点だ」
Statcastのパークファクターを見ると実際には2023〜25年のレート・フィールドは本塁打が出にくい球場という数字も残っているのだが、そもそもチーム内にパワーヒッターが少ないという事情が関係しているのだろう。左中間、右中間の膨らみの少なさ、フェンスの低さなどの特徴はやはりパワー打者には魅力。歴史を紐解けば、1991年の開設以降、多くの年で“ヒッターフレンドリー(打者優位)”という数値が出ている。
過去にはダン、ジム・トーミのような典型的な左打ちのホームランバッターが40本塁打以上を記録した。クリス・ゲッツGMは、「少し湿度が高く、打球がよく伸びて本塁打になりやすい球場。それもムラカミがここに来たいと考えた理由の一つだろう」とはっきりと述べている。打球速度ではメジャーでもエリートクラスとされる村上が豪快な一発を量産すれば、シカゴの新たな名物となり得るのではないか。



