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ドジャース・山本由伸の米国現地評に“大きな変化”…カーショウ「ヤマを真似しろ」敗れた敵将「まるで3人の投手」なぜ評価が急上昇したか?―2025年下半期読まれた記事
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笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2025/12/20 06:01
ドジャース2年目、米国での評価も急上昇した山本由伸
山本の“実はスゴい”キャッチボール
また、彼のキャッチボール、遠投には一目置くものがある。それは『回転』だ。
野球の練習といえば、キャッチボールが基本だが、投手にしろ野手にしろ『綺麗でまっすぐな、純粋な回転のボール』を投げる選手は意外と少ない。カットやシュート回転が多く、相手の胸に安定してボールが収まるキャッチボールを見せる選手ばかりでもない。その点で山本は本当に美しい。
遠投にしても、山本のそれは綺麗な回転でどこまでもまっすぐに伸びていく。まさにお手本。やり投げを用いたルーティンでも、そのやり先は常に真っ直ぐに伸びていく。一流選手の練習にはすべて意味があると言われるが、彼の練習にはそれがよく表れている。
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他にも山本は、重いバーベルを使った筋力トレーニングはしないと聞く。筋骨隆々よりもしなやかで柔らかい筋肉の方がケガには縁遠いと聞くが、日本時代から山本を見てきたNPB関係者は彼の特徴をこう説明する。
「体の柔軟性、股関節と体幹の重要性を理解している選手。腱の瞬発力にも長け、それを活かして投げている」
球種の割合にも“大きな変化”が…
メジャー2年目を迎え、山本の日本時代からの取り組みが、米国の野球環境にもマッチしてきたということだろう。メカニックのベースとなる部分が安定すれば、次はテクニックへの移行に集中できる。昨季との変化も見受けられた。
今季、スプリットは全投球の25%の割合を占めたが、昨季は『スプリットフィンガー』だった小さい変化が、今季は『フォークボール』の大きい変化も見せるようになった。今のメジャーは、直球の平均球速が上がったことで打者は90マイル台後半のボールへの対応能力が上がった。となると、自然、タイミングの取り方が早くなる。そこに目をつけた山本は、緩急をつけ、大きな変化で打者を幻惑することに成功した。
また、直球、スプリット、カーブ、カット、シンカー、スライダーの6球種を投げ分ける中で、昨季は直球、スプリット、カーブの割合が88%をも占めたが、今季は79%に減少した。その分、増えたのが残り3球種。そのクオリティを高めることにも成功したのは大きかった。

