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最強ソフトバンクが放出“もったいない選手”No.1…「かつて広島駅の駅員だった」現役ドラフトで楽天移籍、佐藤直樹27歳とは何者か? 山川穂高も絶賛 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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posted2025/12/11 11:01

最強ソフトバンクが放出“もったいない選手”No.1…「かつて広島駅の駅員だった」現役ドラフトで楽天移籍、佐藤直樹27歳とは何者か? 山川穂高も絶賛<Number Web> photograph by JIJI PRESS

最強ソフトバンクで“埋もれていた”もったいない選手No.1。佐藤直樹とは何者か?

「練習オフ日でゴルフに行っていましたけど、連絡があって慌てて来ました」

 球団から電話が入ったときはラウンド中で残り4ホールほどだったという。

「現役ドラフトの日だと分かっていたし、もしかしたら自分の可能性もあるかなと思っていたので気が動転するとかはなかったです。ただ、(ゴルフが)終わってからまた連絡してほしいと言われて電話を切りましたが、その後は結構叩きましたね(苦笑)」

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 通常のトレードや戦力外通告の場合は、遅くとも球団から通達される前日には内容を伏せたうえで「球団事務所に行ってほしい」と連絡がある。しかし、現役ドラフトは午後1時に開始されて終了後すぐに通達が行われるという少し違った特色があるのだ。

「もったいない選手」佐藤直樹27歳とは何者か?

 さて、楽天に移籍する佐藤もまた、ソフトバンクで埋もれていた“宝石”なのか。

 答えはイエスと言いたい。

 2019年ドラフト1位で入団。社会人野球・JR西日本時代は広島駅で駅員として働いていた経験を持つ。50m5秒8の俊足と遠投120mの強肩が武器の右打ち外野手として期待されたが、常勝軍団の分厚い選手層に阻まれレギュラーの座は遠かった。2023年には三軍暮らしを経験したうえでオフに戦力外通告を言い渡され、育成選手として再契約した過去も持つ。

 それでも2024年6月に支配下復帰を勝ち取ると、今季は自己最多を大きく更新する104試合に出場して打率.239、5本塁打、18打点、10盗塁といずれもキャリアハイの数字を残した。

 佐藤という選手をひと言で表すならば、身体能力オバケだ。

 脚力と守備力の高さは先述した数値からも明らか。課題は打撃だ。ただし、このポテンシャルだからパンチ力は抜群。誰の口からも「もったいない」という言葉が出る選手だった。チームには少し前まで、同じように評される選手がもう1人いた。それが野村勇だった。

野村はブレイク、次は佐藤か…

 内野手の野村勇、外野手の佐藤直樹はソフトバンクの「もったいない族」の筆頭ともいえる存在だったのだ。

 しかし野村は今シーズン、宝の持ち腐れから脱却した。

 2023年は50試合で打率.160、2024年は38試合で打率.116だった男が、今季は126試合出場で打率.271、12本塁打、18盗塁と飛躍を遂げたのである。日本一を決めた日本シリーズ第5戦では延長11回に決勝ホームランも放ち、11月には侍ジャパンの一員に選ばれて韓国戦で東京ドームの天井直撃の打球を放って話題をさらった。

 以前から野村の才能を認め、手を差し伸べたチームの先輩がいた。まずは今宮健太だ。

【次ページ】 「バケモノになれる」山川穂高も絶賛

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