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武尊34歳「結婚したから引退? むしろ逆」壮絶KO後に語った“川口葵さんへの感謝”「この人のおかげで今も闘えている」「病気で苦しんでいた時期も…」

posted2025/11/22 17:02

 
武尊34歳「結婚したから引退? むしろ逆」壮絶KO後に語った“川口葵さんへの感謝”「この人のおかげで今も闘えている」「病気で苦しんでいた時期も…」<Number Web> photograph by Koji Fuse

激闘の2日後、会見でツーショットを披露した武尊と妻の川口葵さん

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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Koji Fuse

「もう最近は毎回泣いているんじゃないかと思うくらい、泣いていますね。(SNSの)コメント欄を見ても『泣き虫』みたいな書き込みを見かけるけど、本当に抑えられない。年なんですかね(笑)」

 ONE Championshipの日本大会(11月16日/有明アリーナ)で行われたデニス・ピューリックとの再起戦を2ラウンドKO勝利で飾った2日後、会見に出席した34歳の武尊は穏やかな表情を浮かべていた。

「試合前から本当に苦しいことがたくさんあったり……。今回も負けていたら、そこで格闘技人生は終わっていたので」

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 格闘家として生きながらえたこと。それも穏やかな表情の理由のひとつだったのか。

敗北から芽生えた“武尊の魅力”

 2022年6月19日。東京ドームで行われた“神童”那須川天心との大一番で判定負けを喫し、連勝は35でストップした。その後、K-1を離脱。当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったムエタイファイターで、天心とも好勝負を繰り広げたロッタン・ジットムアンノンを倒すことを目標に掲げ、ONE Championshipとの契約を発表した。

 しかし、その後は茨の道が待ち受けていた。23年6月24日、パリで行われた再起戦で5ラウンドKO勝ちを収めISKA世界王座を獲得したまではよかった。その勢いで24年1月28日にONE日本大会でスーパーレック・キアトモー9が保持するONEキック世界フライ級王座に挑戦したものの、激闘の末に判定負け。同年9月27日のONEバンコク大会では伏兵のタン・ジンに1ラウンドに左ストレートでダウンを奪われ、2ラウンドに左フックで逆転KO勝ちを収めた。

 思った通りの試合展開にならない理由として、武尊はK-1とONEのルールの違いを挙げた。

「ONEはラウンドマストシステム(ラウンドごとにジャッジが必ず優劣をつける)。そうなると、ちょっとの差でもポイントになっちゃう。そういうところを意識した闘いをしすぎていた」

 今年3月23日の日本大会では念願のロッタンとの一騎討ちを実現させたが、まさかの1ラウンドKO負けを喫してしまった。

 ロッタン戦の数日後、同門で後輩の野杁正明は「試合の2週間ほど前、武尊君はあばらと胸骨を骨折していた」と明かした。一方で、武尊自身から言い訳めいた発言は一切なかった。

 そういった潔さも武尊人気を支える一因となっているのだろうか。いずれも敗れた試合ながら、スーパーレックとの身を削るような戦いや、ケガを隠しながらロッタンに挑んだことで、今までなかった魅力が武尊に芽生えたことは確かだろう。

【次ページ】 「あの頃の武尊が戻ってきた」激しい“壊し合い”

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