伊藤大海の沢村賞選出は“2年連続該当なし”を回避か「200→180回、10→8完投」基準をさらに見直して、先発完投型にこだわらなくても 

【2つ該当する投手 8人】
有原航平（ソ）○26登1完14勝175回
○勝率60.9％121振 防率3.03
QS％65.4％（17/26）
九里亜蓮（オ）○25登2完11勝164.1回
勝率57.9％114振 ○防率2.41
QS％44％（11/25）
ジャクソン（De）○25登0完10勝150.2回
勝率58.8％109振 ○防率2.33
QS％36％（9/25）
*東克樹（De）24登2完14勝160.1回
○勝率63.6％123振 ○防率2.19
QS％62.5％（15/24）
*ケイ（De）24登1完9勝155回
○勝率60％130振 ○防率1.74
QS％54.2％（13/24）
*大関友久（ソ）24登0完13勝146.2回
○勝率72.2％97振 ○防率1.66
QS％50％（12/24）
北山亘基（日）22登4完9勝149回
○勝率64.3％143振 ○防率1.63
QS％45.5％（10/22）
才木浩人（神）24登3完12勝157回
○勝率66.7％122振 ○防率1.55
QS％37.5％（9/24）

　7基準のうち、完投数、勝利数、投球回数をクリアした投手はいなかった。最大4基準のうち、3つクリアした投手が6人。この中で伊藤は、登板数、奪三振数が最多で、基準はクリアしなかったが投球回（196.2回）、完投数（6）も最多。さらにQS数（20）も、QS％（74.1％）も最多だった。

　伊藤は7基準のうち3つしかクリアしていないが、先発完投型の関連する指標で他の投手よりも「比較的優位」ということで授与されたのだろう。

2024年は戸郷が4つクリアも「該当者なし」

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　昨年は巨人の戸郷翔征が登板数（26）、勝率（60％）、奪三振数（156）、防御率（1.95）の4つをクリアしながら「該当者なし」になった。

©Hideki Sugiyama

　選考委員会は「2年連続該当者なし」を避けるため、伊藤大海を選出したのかもしれない。だが、伊藤の防御率は2.52、パ・リーグ規定投球回数以上の投手の中で7位。今回の選考はかなり苦しい印象だ。

　筆者はペナントレース中、当コラムでPR（Pitching Runs）という指標を提示している。「PR＝（リーグ防御率－その投手の防御率）×投球回数÷9」で導き出せる。リーグ防御率より低い防御率で、より多く投げた投手が上位に来る（セ・リーグの平均防御率は2.97、パ・リーグは3.04）。PRのランキングは以下になる。

*モイネロ（ソ） PR29.32
（防御率1.46 投球回167）
才木浩人（神） PR24.95
（防御率1.55 投球回157）
北山亘基（日） PR23.34
（防御率1.63 投球回149）
*大関友久（ソ） PR22.49
（防御率1.66 投球回146.2）
*ケイ（De） PR21.36
（防御率1.74 投球回155）
今井達也（西） PR20.37
（防御率1.92 投球回163.2）
村上頌樹（神） PR17.14
（防御率2.10 投球回175.1）
石井大智（神） PR16.55
（防御率0.17 投球回53）
デュプランティエ（神） PR16.02
（防御率1.39 投球回90.2）
山﨑伊織（巨） PR15.81
（防御率2.07 投球回156.1）

*及川雅貴（神） PR14.54
（防御率0.87 投球回62）
*グリフィン（巨） PR11.79
（防御率1.62 投球回78）
マルティネス（巨） PR11.77
（防御率1.11 投球回56.2）
*大野雄大（中） PR11.73
（防御率2.10 投球回120）
九里亜蓮（オ） PR11.50
（防御率2.41 投球回164.1）
達孝太（日） PR11.37
（防御率2.09 投球回107.2）
伊藤大海（日） PR11.36
（防御率2.52 投球回196.2）

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