NumberWeb TopicsBACK NUMBER
「MJ、なぜパンチを出さないんだ!」敗者アフマダリエフの混乱、コーチは叫んでいた…vs井上尚弥完敗の夜、日本人記者が聞いた「準備時間が足りなかった」発言
posted2025/09/22 17:01
9月14日、井上尚弥vsアフマダリエフ。敗者が思い描いていた“番狂わせ”プランとは…
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
◆◆◆
敗戦から数時間後、アフマダリエフ陣営が宿泊するホテルで異例の状況が生まれた。記者会見で「ノーコメント」と答えたコーチのアントニオが、突如取材に応じたのだ。「イノウエには速さとステップがあることは知っていた」と前置きしつつも、彼は陣営内の混乱を明かした。
「MJ(アフマダリエフ)には試合中も伝えていた。手を出さないとダメだ、カウンターを狙え、と」。そう叫びながらもアフマダリエフの動きは変わらなかった。「カウンターを放てなかった。特にMJが押して、イノウエに押し返されたとき。あそこがカウンターのチャンスだった。MJがイノウエのスピードとステップに驚いていたからなのか。まだ本人とじっくり話せていないからわからない」
「準備時間が足りなかった」発言
ADVERTISEMENT
その夜、アフマダリエフ本人にも奇跡的に取材が実現した。ケバブを食べに出かけていた彼は、関係者10人ほどを引き連れてホテルに戻ってきた際、直撃取材に応じた。
「イノウエはうまく、速かった。それでも、予想を大きく超えた力というものではなかった。それよりも、自分の力を出せなかったという気持ちが大きい」。アフマダリエフはそう語りながらも、「(前の試合の早期決着で)準備時間が足りなかった。体をもう少し温められていたら、と思う」と敗因を分析した。
――トレーナーのアントニオは「もっとパンチを出せ」と声をかけていたが、そこがうまく機能しなかったと言っていた。
「その声は聞こえていたし、たしかにチャンスはあった。打ちたい気持ちはあった。自分がやりたかったスタイルのボクシングを、と思っていたんだが……」
記者はある表情を思い出していた。ラウンドの合間、アフマダリエフがコーナーに戻るとき、彼は無機質な表情でリングを呆然と見つめていた。コーチの声に反応せず、まるで勝負を諦めたかのような無の表情だった。
◆
そして記者は、アフマダリエフ陣営の”天才戦術家”ジョエルコーチにも試合前、試合後と直撃していた。アフマダリエフ陣営、“2つの誤算”は本編でさらに詳しく描かれている。
<続く>
この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。
