「準備は100点、実力が不足」世界に歯が立たなかった箱根駅伝勢…世界陸上5000m・10000mで見えた弱点“ペース変化”「日本だとあそこまでは…」 

　今後日本勢は、小刻みに起こるペース変化の波にどう対応していけばいいのか。

　鈴木が言及したように、ひとつには、極端な変化走を練習メニューに取り入れていくことが必要だろう。それをチームレベルだけではなく、実業団の垣根を越えて数チームの合同練習で取り組んでもいいのではないか。

海外で場数を踏む重要性

　実戦経験を積むために海外のレースに出ていくことも重要だろう。鈴木はアメリカでの大会やダイヤモンドリーグに出場しているが、彼に限らず、海外で場数を踏み、どんなレースにも対応できるタフな力をつけていく必要がある。

パリ五輪10000mでの葛西。27分53秒18の記録で20位だった　©Getty Images

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　葛西はパリ五輪で26分43秒のハイペースのレースを経験し、今回は1km3分15秒で入る超スローペースという極端なレースを経験した。「どちらも戦うことができなかった」と厳しい表情だったが、それでも「両方を経験できたのは大きな収穫があると思う。（ただ）ここで得たものを結果として残さないと、収穫を得たとは言えないので、今後につなげていきたい」と語っていた。そういう経験が重要であり、その収穫をどう活かしていくかだろう。

個々の走力アップも必須

　もちろん、個の走力のベースを上げることも求められる。世界大会に出場して上位に絡むには、やはりまずは参加標準記録を切るタイムがないと難しい。今回、結果を出した3000m障害8位の三浦龍司、110mハードル5位の村竹ラシッド、400m6位の中島佑気ジョセフの中短距離勢はいずれも世界陸上東京大会の参加標準記録をクリアしての出場で、ある意味、その力通りの結果を出したと言える。当然ながらまずは、設定タイムを切れる力をつけていくことが求められるだろう。

　その重要性を森、葛西、鈴木ともに理解している。

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