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「中学生が軟式で145km…球場がどよめいた」“甲子園で脚光”沖縄尚学・末吉良丞の意外なルーツ「じつは“普通の軟式野球部”出身」恩師が語る中学時代

posted2025/08/16 11:04

 
「中学生が軟式で145km…球場がどよめいた」“甲子園で脚光”沖縄尚学・末吉良丞の意外なルーツ「じつは“普通の軟式野球部”出身」恩師が語る中学時代<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

1回戦で金足農業を完封した沖縄尚学の末吉良丞(2年生)。14奪三振の快投だった

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松永多佳倫

松永多佳倫Takarin Matsunaga

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13イニングを投げて19奪三振、防御率0.00と、大会屈指のサウスポーとして注目を集めている沖縄尚学の末吉良丞(2年生)。いまだ底を見せていない怪物候補のルーツとは? 中学時代の恩師らに沖縄で話を聞いた。(全2回の1回目/後編へ)

じつは「中学校の軟式野球部」出身

 9回2アウトランナーなし。鳴門の代打・平野雄大が初球のストレートを振り抜く。中堅方向に高々と舞い上がった打球は失速し、センターのグラブに収まった。

 鳴門に3対0で勝利した沖縄尚学の2年生左腕・末吉良丞はガッツポーズをすることもなく悠々とマウンドを降りた。落ち着いた表情のまま整列して深々と礼をする。

 末吉を見ていて思うことがある。

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「どうしてこんなにも貫禄があるのだろうか」

 ランナーが出ても慌てずに、いつも堂々としている。マウンドさばきを含め、3年生でも稀なほどの落ち着きはどこから生まれたものなのだろうか。まだ2年生の末吉に対して、来年の今頃はどんな成長曲線を描いているのだろうと想像すると、末恐ろしさを感じてしまう。

 沖縄県大会で4試合29イニング、40奪三振、失点1、防御率0.31の成績を残して甲子園に乗り込んできた末吉は、1回戦の金足農業戦で14奪三振の完封勝利。2回戦の鳴門戦はベンチスタートだったが、1点リードの6回からマウンドに上がり、4イニング62球を投げて被安打3、5奪三振、無失点。3対0の勝利に貢献し、仙台育英との3回戦へと駒を進めた。

 ここまで甲子園では2試合13イニングを投げて19奪三振、被安打6、防御率0.00。まったく危なげない完璧に近い投球を続けている。全出場校が初戦を終えたなかで、一気に大会ナンバーワン級のピッチャーに躍り出てきた感がある。

 近年、甲子園に現れる超高校級の選手たちの中学時代を調べると、その多くがボーイズ、リトルシニア、あるいはポニーの出身者だ。高校野球をやる準備段階として硬式野球経験者として経歴を重ねるのが当たり前の時代に、末吉はトレンドに反するかのように地元の中学校の軟式野球部で研鑽を積んだ。

【次ページ】 球場がどよめいた「軟式で145km」

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