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「今度は自分がアイツを甲子園に連れていく」夏の甲子園“ある優勝候補校”「投げられなかったエース」と「新たな背番号1」…2人の投手の絆秘話 

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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posted2025/08/08 11:00

「今度は自分がアイツを甲子園に連れていく」夏の甲子園“ある優勝候補校”「投げられなかったエース」と「新たな背番号1」…2人の投手の絆秘話<Number Web> photograph by JIJI PRESS

夏の甲子園で優勝候補の一角に挙げられる兵庫の東洋大姫路。一方で、春までのエースはケガの影響から県大会で投げることができなかった

 今年、ソフトバンクに育成7位で入団した津嘉山憲志郎(神戸国際大付)や、昨夏、県大会制覇後にメスを入れることを決断した今秋ドラフト候補に挙がる佐藤龍月(健大高崎)など、最近は高校野球を終える前でも将来を見据えて手術を決断した球児もいる。岡田龍生監督も本音を言えば「(手術を)決断しても……」という思いはあったという。

 ただ、岡田監督は阪下に対して、慎重にこう明かしてくれた。

「今はドクターが間に入って話を進めているところです。現状を見ながら投げられるかどうかを見ているのですが、今のところは良い球と悪い球がはっきりしていて、いつ投げさせられるのか何とも言えない状況なんです」

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 メスを入れれば、治療期間を考えるとその時点で高校野球を終えることになる。

 だが、本人は「もしかしたら投げられるのかも」というわずかな可能性を信じたい思いが強かった。指揮官は結果的に本人の意思を尊重することにした。

 6月末からキャッチボールなどで徐々にボールに触れ、ブルペンにも入った。少しずつ強度を上げつつ、どこまで投げられるのかを模索しながらの日々が続いた。

高校最後の夏…直前で背負った背番号「10」

 今夏の県大会は最初の登録ではベンチ入りしていなかったが、大会直前のメンバー変更で背番号10を背負うことになった。

 県大会中は打者相手に4回ほど投げる機会があったという。

「ノーアウトランナーなしの設定で、ランナーが出たらクイックモーションで投げるというのをやってきました。紅白戦形式のシート打撃という感じでしたけれど、もっと出力を上げていけば良くなっていく感触はありました」

 苦しい状況に置かれても阪下がそう前を向けた大きな理由のひとつは、新たな「背番号1」の存在があったからだ。

<次回へつづく>

#2に続く
「秋の姿に戻るのは難しい。でも…」甲子園“優勝候補の一角”東洋大姫路…靭帯損傷“かつての背番号1”が明かす胸の内「もう一度、皆と野球がしたい」

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