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「僕は背も低いし、体も小さい」身長164cmの育成選手→オールスター出場へ…西武の21歳・滝澤夏央が語る「レギュラーへの転機」「僕の生きる道」
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市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/24 11:03
小さな体をものともせず躍動感溢れるプレーで魅了する滝澤
「昨年は結果として今までで一番試合に出させてもらうことができました。スタートから出ることも多かった中で、バッティングの方で結果が出なくて、せっかくチャンスがあったのにレギュラーを獲れなかったという悔しさがありました。調子がいいとき、悪いときがある中で、何かアピールできるプレーがあれば良かったのかなと思いました。ミスが連続して出てしまったり、バッティングがダメなのに、守備でもエラーしてしまうことがあって、そういうことを繰り返すと周りからの信頼がなくなっていくと思うので」
「僕は背も低いし体も小さい」小兵の生きる道
昨年は当時、ファーム監督を務めていた西口文也監督と理想の選手像について話をしたという。
「ファームにいたときから戦い方やプレーについて『もっとこうしたら良かったな』と、大事なことを試合後に言ってくださる監督でした。去年はいろいろと話を聞いてくださって、プロの世界で僕が生きる道は何なのかということも話してもらいました。僕は背も低いですし、体も小さい。その中でも僕の生きる道はあるはずだと改めて思いました。やはりまずは守備と足。そしてバッティングでは相手が嫌がるようなことをする。チームに必要とされるようなバッティングをしようと思いました」
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そして今シーズン、外崎修汰のサード転向が決まり、滝澤にチャンスが巡ってきた。開幕3戦目となるファイターズ戦に「9番・セカンド」で先発出場。その後、得意とする守備や走塁だけではなく、粘り強いバッティングをアピールし、自らの力でレギュラーポジションをつかんだのである。
レギュラーを手繰り寄せた打撃面の成長
滝澤は今シーズン、ここまでの自分をどう見ているのだろうか?
「相手に嫌がられるプレーは、できているんじゃないかなぁ……とは思います。まずは積極的にファーストストライクを打ちにいく意識を持って打席に立っています。2ストライクに追い込まれたあとは、ボールを少し長く見ることもありますけど、まずはヒットをねらって思い切り打ちにいくことが一番大事だと思っています」
ボールを長く見ることを心がけた結果、際どいボールをファウルにしたり、フォアボールを選んだりできるようになった。
「去年から心がけてきていて、手ごたえを感じるのは今年からですね」
打撃面での成長がレギュラーの座を手繰り寄せたのだ。
仁志コーチが語る「成長の理由」
仁志敏久野手チーフ兼打撃コーチは語る。
「バッティングは非常に成長したと思います。もともとタイミングの取り方や、ボールをバットに当てるまでの動作は素晴らしいものを持っていました。正直に言うと、滝澤の打撃は癖がないので、指導するのが難しいと感じていました。癖はその選手の特徴でもあるので、その特徴が動きに悪い影響を与えていることが多く、弱点がわかりやすいんです。でも滝澤の場合、そういった大きな悪い癖が見当たりません」



