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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「もう陸上は無理かなと思って…」17歳で日本王者→米進学でスランプに…800mで4年ぶり日本選手権に復活 23歳になった元“天才高校生ランナー”の告白
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph byNanae Suzuki
posted2025/07/22 11:02
4年ぶりに日本選手権の舞台に戻ってきたクレイアーロン竜波(ペンシルベニア州立大学)。大学進学以降陥っていたスランプからようやく脱出の兆しが
もともとクレイアーロンは「東京五輪のホープ」と期待された選手だった。
だが、彼がその舞台に立つことはなかった。国立競技場を走るのも、今回の日本選手権が初めてだったという。
アメリカ人の父を持つクレイアーロンは、中学時代にクラブチームでライフセービングに取り組むかたわら、学校の部活では陸上部に入り、その両方で全国レベルの活躍を見せていた。陸上では3年時に全日本中学校選手権に800mと1500mの2種目で出場し、800mでは2位に輝いている。
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中学卒業後は相洋高(神奈川)に進むと、加速度的に力を付けていく。
1年生ながらインターハイで準優勝を果たし、その年の秋の国体では少年男子共通(中3~高3)800mで年上の選手たちを破って優勝を果たした。そして、高校2年生で800mのインターハイチャンピオンに輝いた。高校時代は800mだけにとどまらず、4×400mリレーや駅伝にも出場しマルチに活躍した。
「高校生で日本選手権優勝」の衝撃
圧巻だったのが高校3年時の2019年だ。
もちろんインターハイは全国大会で連覇を達成。飛ぶ鳥を落とす勢いで快進撃を続け、日本選手権では当時6連覇中だった川元に競り勝ち、17歳にして真の日本一の称号を手にした。1分46秒59の優勝記録は、当時のU20日本新記録、U18日本新記録、そして高校新記録と記録ずくめだった。
東京五輪を目前に、日本の中距離界に現れた新星として大きな注目を集めた。
そして、その進路も多くの関心を集めるなか、当人はアメリカに渡って競技を続けることを決意。世界はパンデミックの真っ只中だったが、翌20年の秋に晴れてテキサスA&M大学に入学した。
ここまでは、まさに順風満帆の競技生活だった。だが、ここからクレイアーロンの道が暗転することになる。
<次回へつづく>

