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「泣いていた私に、たむちゃんが…」衝撃引退の中野たむが、なつぽいに送った“ある言葉”…安納サオリとなつぽいが語る「たむがいないスターダム」への本音
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2025/07/20 17:10
5月31日、デビュー10周年を迎えたなつぽいと安納サオリ
「たむちゃんの引退がなかったら…」かけられた言葉
2人にしかできない興行を成功させた。その過程で“中野たむの不在”を乗り越えた面もある。
「10周年興行がなかったら“これからどうしよう”というマインドのままだったかもしれない」(安納)
「たむちゃんがいないスターダムの未来が見えない、どうやって団体を引っ張ればいいのか分からない。そう言って泣いていた私に、たむちゃんは“なっちゃんはなっちゃんのやり方でやればいいんだよ”と言ってくれたんです。たむちゃんの引退がなかったら、団体の未来に対しての責任感が芽生えることもなかったはず。今の状況は、たむちゃんがくれたチャンスだと思うようにしてます」(なつぽい)
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2人にとって7.21札幌大会でのタイトルマッチは“新しいスターダム”を示すための重要な一歩になる。なつぽいは“悪の魅力”と親しみやすさを両立してカリスマ性を得た上谷を「中途半端なヒールごっこ」をしていると真っ向から批判した。
上谷の人気を考えると、反発するファンがいるのも予想できたはず。それでもなつぽいは、これまでとは違う対立軸を打ち出すことに意識的だった。
「スターダムは層も厚いし、たむちゃんがいなくてもなんとなく大丈夫、穴埋めできてるよねって思わせることもできる。でもそれじゃダメなんですよ。スターダムの変化、新しい未来を見せたい」
上谷に立ちはだかる“ヒーロー”
今やスターダム随一の人気選手になった上谷に対し、なつぽいはヒーローとして立ちはだかりたいと言う。
「今のスターダムは初見の人も多くなってますよね。そんな人たちがもっと入りやすいスターダムを目指したいんです」
今は上谷というヒールが独走している。しかし本来はベビーフェイスが輝くことで、ヒールの存在感もさらに増すはずだ。
「アニメ好きだからですかね、ヒーローを応援したくなる世界がいいなって」
ヒール=ライバルの個性が際立つのもヒーローあってこそ。中野たむの引退と10周年興行を乗り越えて、なつぽいと安納サオリはあらためてスターダムの主役を目指す。



