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「泣いていた私に、たむちゃんが…」衝撃引退の中野たむが、なつぽいに送った“ある言葉”…安納サオリとなつぽいが語る「たむがいないスターダム」への本音
posted2025/07/20 17:10

5月31日、デビュー10周年を迎えたなつぽいと安納サオリ
text by

橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
2人でタイトルマッチに臨むことは、きっと偶然ではない。7月21日、スターダムのビッグマッチである札幌大会。同じユニット「コズミック・エンジェルズ(コズエン)」所属でタッグパートナーでもあるなつぽいと安納サオリが、団体の看板タイトルに揃って挑戦する。
なつぽいは上谷沙弥の持つ“赤いベルト”ワールド・オブ・スターダム王座、安納はスターライト・キッドの“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダム王座へのチャレンジだ。
昨年7月の札幌大会では、安納となつぽいが対戦した。勝ったなつぽいは、当時チャンピオンだった安納から白いベルトを奪い、初戴冠を果たしている。
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あれから1年経って、今度はそれぞれがベルト挑戦。なつぽいと安納はともに「去年とは気持ちがまったく違います」と言う。
この数カ月で、それだけ大きな出来事があった。一つは、コズエンのリーダーでありスターダムの“顔”でもあった中野たむの引退だ。
たむの引退「メンタルがボロボロ」「混乱するというか…」
たむは4月27日の横浜アリーナ大会で上谷のベルトに挑戦。この試合は「敗者引退マッチ」として行われ、敗れたたむはその場で引退した。
試合後のバックステージ。たむにすがりつくようにして泣いていたのがなつぽいだった。リングからたむがいなくなることが信じられなかった。
「たむちゃんが引退した横浜アリーナ大会のすぐ後に九州遠征があったんです。その時はメンタルがボロボロで」(なつぽい)
「毎日のように会って“おはよう”って言ってた相手が急にいなくなったんですから。混乱するというか“あれ、たむは?”ってなっちゃうんです」(安納)
中野たむというレスラーの存在は、とてつもなく大きなものだった。他のユニットの選手でさえ「たむさんほどスターダム愛が強い人はいない」と言う。
「たむちゃんがいないスターダムは、これまでとは違うものになる。その変化についてはめちゃくちゃ考えました」
そう語るなつぽい。安納も「これまでとはどうしたって違うものになりますよね」と言う。
「今思えばたむちゃんに頼りっきりでしたね。たむちゃんがいないと、こんなに不安になるんだって。これまでどれだけ支えられてきたんだろうって思ったし、全部投げ出したかった。“もう私も引退する!”って(苦笑)」(なつぽい)