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「泣いていた私に、たむちゃんが…」衝撃引退の中野たむが、なつぽいに送った“ある言葉”…安納サオリとなつぽいが語る「たむがいないスターダム」への本音
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2025/07/20 17:10
5月31日、デビュー10周年を迎えたなつぽいと安納サオリ
女子プロレスのキラキラした世界が好きだというなつぽい。しかし仙女の試合を見ていると「炎が燃えるような輝きを感じる」ようになった。
「仙女さんに上がってから、闘いの楽しさを知りました。だからこそ、女子プロレスを盛り上げるのにスターダムが負けちゃいけないって」
安納は今でも仙女に敷居の高さを感じるが、同時に「負けたくない」という思いも強くなったという。
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「負けたくない」という思いは仙女勢も同じだったはずだ。橋本と岩田は実力を見せつけるかのように激しい攻撃を繰り出していった。とりわけ橋本の動きは圧倒的と言うしかなかった。
それでも最後はなつぽいが岩田から逆転の3カウントを奪う。決まり手のフェアリーマジックは一瞬の隙を突いての丸め込み。なつぽいらしいテクニカルな勝ち方だった。なつぽいにはなつぽいの“闘い”があり“強さ”がある。
「闘いとか強さを持っている相手に勝てたのは自信になりました。私たちの歴史の証明でもあるのかなって思います」
安納「なつみが一緒だったから」
10年前。芸能の世界から誘われてのプロレスデビューは風当たりも強かった。
「試合をして分かってもらうしかなかった」
プロレスの華やかさを愛し、自身は“妖精”のキャッチフレーズがある。しかしそれだけで生き抜ける世界ではなかったのだ。
橋本と岩田という実力者タッグに勝つことは、アクトレスガールズ出身の2人にとって“キャリア10年の証”だった。
さらにメイン後には、安納となつぽいのシングル対決も。ゲストの有田哲平に請われ、5分だけのエクストラマッチ。「やる」と決めた瞬間、安納の顔つきが一変したのが印象的だ。
「シングルは札幌のタイトルマッチ以来。久しぶりだったし直前までタッグを組んでたのに、対角に立ったらすぐスイッチが入るのが安納サオリなんだなって。どんなタイミングでもスイッチが入る。それで私にもスイッチが入りました」(なつぽい)
「この10周年興行、準備しながら不安で仕方ない時もあったんですよ。でも頑張れたのはなつみ(なつぽい)が一緒だったから。本当に心強いパートナーです。でもやっぱり、向かい合うと負けたくないんですよ。絆が深まった分、余計にそう思います」(安納)
試合を終えて舞台裏にいったん引き上げると、安納は足がつって倒れたそうだ。しかしそこから衣装を替えてライブがある。大会後のコメントも含め5時間の長丁場。家に帰ると「ソファーから5時間動けなかったです」。



