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プロ野球PRESSBACK NUMBER
岡田彰布がバッサリ「論外よ。打ったら走るってことやんか」佐藤輝明“あの確信歩き”問題から考える「藤川球児との違い」首位独走・阪神の監督論
text by

内匠宏幸Hiroyuki Takumi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2025/07/19 11:01

2023年、阪神を38年ぶりの日本一に導いた岡田彰布前監督。現在は阪神のオーナー付顧問を務めている
話を戻す。さあ勘違いの確信歩きに、岡田氏は何を語る。それはたったひと言。「論外よ」だった。勝敗の行方を左右するプレーであったことはもちろん、野球選手として論外と斬り捨てたのだ。記者の追い取材でも岡田氏のあきれ口調は止まらず「そんなん昔から打ったら走るってことやんか」と続いた。
佐藤輝明を“あえて責めなかった”藤川球児
こうなれば当然、ベンチの監督の反応が注目される。試合後、取り囲む多くのトラ番が「あの佐藤輝の走塁のことだけど」と聞くと、藤川球児監督はゆったりとした口調で「それは本人の責任の中で、ね」とだけで話題を他に振ったのである。
「それは本人がしっかりと責任を感じて、考えることです」という意味で、あえて深く言及しなかったことは、後々、佐藤輝の後押しになったのは間違いない。
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セ・リーグの貯金を独り占めし、快走を続ける阪神の「象徴」は5年目の佐藤輝の本格覚醒に他ならない。入団3、4年目に監督として接した岡田氏と、今年からの藤川監督のマネジメントの違い。それは佐藤輝に最も現れているといえる。
「あれだけ多く三振してエエわけないやろ」
とにかく岡田氏は佐藤輝に多くのことを求めてきた。それはルーキーの時からだった。評論家として阪神のゲームを追い、その中で佐藤輝の打撃を痛烈に皮肉っていた。三振数が極端に多いことに対して、多くの評論家が「振る力がある。三振は気にする必要はない」と論評する中、岡田氏は「あれだけ多く三振してエエわけないやろ。フルスイングの意味を間違えているんちゃうか」と言い切った。
2023年、岡田氏が阪神の監督に復帰した。当然、佐藤輝をどう扱い、どう起用するのか。そこに注目が集まった。特に打順に関してだが、ファンの間では佐藤輝の4番待望論が高まっていた。岡田氏もその気でいた。佐藤輝のポテンシャルは認めていた。だが2月のキャンプから追っていると、気付くことがあった。