酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「長嶋茂雄世代」は本人以外もスゴすぎ…最多本塁打・安打・打点が“長嶋ではなく野村克也”、200勝投手2人に「じつは“あの青汁俳優”も」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph bySankei Shimbun
posted2025/06/04 06:00
背番号3の長嶋茂雄の現役時代
野村は京都府立峰山高校から1954年テスト生同然で南海に入団。一時はクビの危機におびえながら正捕手の座を獲得した。3度目のベストナインを取った1958年に立教大学から長嶋茂雄が入団すると、長嶋は即プロ野球最大のスターへと駆け上がった。
《王貞治と長嶋茂雄、ONが太陽を浴びる向日葵ならば、オレは野にひっそりと咲く月見草》
野村の言葉は、同学年であっという間にスターダムに躍り出た長嶋を強く意識したものとして象徴的である。とはいえ安打数2位の長嶋は、通算打率で1位だ。
長嶋や野村だけでなく…仰木マジックも同世代
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長嶋と野村以外も多士済々である。
3位には毒島（ぶすじま）。昭和の野球少年はこの選手の名前から「毒」という字を「ぶす」と読むことを知っていた。張本勲や大杉勝男ら強打者のいる東映でリードオフマンとして活躍。三塁打数106本は福本豊に次ぐ史上2位。つづく小玉は、初代ミスターバファローズ。長嶋と同じ三塁手でベストナイン5回を獲得した。毒島はあと23本、小玉はあと37本で2000本安打だったが、当時はこの記録への注目度が低かった。引退後、2人ともに大台突破をできなかったことを残念に思うメッセージを残している。近藤は明治大学のスラッガーで、東京六大学では長嶋のライバル。プロでも長嶋と何度も首位打者争いをした。プロ野球ニュースの解説者としても活躍した。
6位以下で言えば森徹も早稲田大時代から長嶋のライバル。58年、長嶋が新人で本塁打、打点王を取った翌59年、31本塁打、87打点で二冠王になっている。土屋正孝は高校から巨人に、長嶋が入団する前年まで、巨人の正三塁手だった。「長嶋の前の巨人の正三塁手は？」はトリビアクイズになっている。のち国鉄に移籍した。
10位以降で言うと仰木は西鉄ライオンズの名二塁手であり、引退後は「仰木マジック」といわれた名監督かつイチローの最大の理解者だった。12位の本屋敷は、立教大時代に長嶋と三遊間を組み、人気があった。阪急でも内野手として活躍した。
真っ先に騒がれた投手は梶本でも皆川でも杉浦でもなく
つづいては投手を見ていく。名球会入りは2人いる。
〈長嶋世代の投手勝利数10傑〉
1.梶本隆夫1954-1973（阪急）1935.4.8
867試254勝255敗4208回 率2.98
2.皆川睦男（睦雄）1954-1971（南海）1935.7.3
759試221勝139敗3158回 率2.42
3.杉浦忠1958-1970（南海）1935.9.17
577試187勝106敗2413.1回 率2.39
4.土橋正幸1955-1967（東映）1935.12.5
455試162勝135敗2518.1回 率2.66
5.大矢根博臣1954-1962（中日-西鉄）1935.7.1
247試86勝56敗1296.2回 率2.12
6.柿本実1960-1969（南海-中日-阪急-阪神）1935.10.5
300試83勝71敗1402.1回 率2.55
6.中山俊丈（義朗）1955-1965（中日）1935.12.1
396試83勝90敗1605回 率2.55
8.中西勝己1956-1965（毎日-大毎-東京）1935.4.6
307試72勝70敗1257.2回 率2.83
9.空谷（児玉）泰1954-1962（中日-近鉄）1935.7.19
208試63勝57敗1051.2回 率2.53
10.堀内庄1954-1963（巨人）1935.10.5
243試62勝44敗1017.2回 率2.17
