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田中希実「異例の挑戦」の裏側で…“黄金世代のエース候補”ドルーリー朱瑛里(17歳)の現在地「選手としてだけじゃなく…人として成長したい」
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別府響Hibiki Beppu
photograph byNanae Suzuki
posted2025/05/19 17:01

ゴールデングランプリ1500mで2位に入った田中希実(New Balance)。高校生ながら唯一の出場となったドルーリー朱瑛里は貧血の影響があったという
2年前、まだ中学生だった頃に新年の都道府県対抗女子駅伝での「17人抜き」で注目を集めたドルーリー。高校進学後も一昨年のインターハイ女子1500mで1年生ながら3位に入り、田中の持っていた歴代高1最高記録も更新。
2年生になった昨年も4月にドバイで開催されたU20アジア選手権の日本代表に選出され、女子1500mで金メダルを獲得するなど、着実に成長を遂げてきていた。
去年は「すごく苦労をした1年間でした」
だが、昨年の夏頃から徐々に貧血の影響が顕著になりはじめると、インターハイでは1500m決勝11位。同学年の日本記録保持者・久保凛(東大阪敬愛)が優勝した800mでは準決勝落ちに終わるなど、不調に苦しんだ。
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「去年は体重がすごく落ちたりとか、(貧血の影響もあり)食事の面だったりメンタルの面だったり、すごく苦労をした1年間でした。それもあって、そこでまたひとつ自分を見直すきっかけになりました」
そうドルーリー本人が語るように、中学時代に結果を出して以降、右肩上がりだった成長曲線に初めて陰りが出始めた年でもあった。
ただ、そんな厳しい経験も17歳の若者にとっては大きな糧になっているのかもしれない。
ゴールデングランプリのレース後、ミックスゾーンで語る姿は、これまで以上の落ち着きを感じさせた。そのうえで、高校最後の1年に懸ける思いは大きい。
「去年はいままでの陸上人生の中でもかなり苦しかった1年間だったので……食事の内容から練習内容まで、考え直すきっかけにもなりました。今年は高校ラストの1年でもあるので、選手としてはもちろん、人としても成長できる1年間にしたいと思います。皆から応援されるような、記憶に残るような選手になれるように頑張りたいです」