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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「カルデナスの表情が…」井上尚弥の“エグいボディ”が直撃した瞬間…井上本人から指名「撮ってもらえませんか?」密着カメラマンが見た“現地ウラ側”
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/05/09 11:05
「カルデナスのポーカーフェイスが崩れた瞬間があった」現地カメラマンの証言
山口 空港で会ったときは、表情からも若干いつもより緊張感があるような印象でした。やっぱりラスベガスでのビッグマッチの直前ですから。自分も街に降り立ってみて「これはすごいな」と感じました。メインのラスベガス・ストリップの至るところで、「怪物」の文字が入った尚弥選手の映像が流れているんですよ。MGMグランドにも尚弥選手のビジュアルがずっと掲示されていました。おそらく本人もそれを目の当たりにして、現地の期待度を肌で感じて……。緊張や重圧とは違うかもしれませんが、「いっちょ見せてやるぜ」という気持ちになっていたんじゃないかと思います。
――会見、計量と井上選手とカルデナスを撮影していて、両者のコンディションについて感じたところはありますか。
山口 尚弥選手はいい意味でいつも通りというか、変わったところは見受けられませんでしたね。フィジカル的にも脂肪がきっちり落ちて、すばらしい仕上がりだったと思います。カルデナスは初めて生で見ましたが、「順調に仕上げてきたんだろうな」と感じました。自分を信じている、という印象ですかね。ふたりともいい表情をしていましたよ。
「血が飛んでくる…」間近で撮影
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――リングサイドで試合を撮影された山口さんですが、あそこに入れると決まったのはいつだったんでしょうか。
山口 当日です。開場前にクレデンシャルを受け取るまで、撮影ポジションがどこなのかわからないので。リングサイドだとわかった瞬間はテンション爆上がりですよ。望遠で撮る覚悟でラスベガス入りしていましたから、夢かと思いました。普段、リングサイドで撮影するときは血が飛んできたりするので黒い服を選ぶんですが、今回は望遠だろうと思っていたので当日も白いTシャツを着ていたくらい。ジムワークのために新しく買ったレンズも使うことができました(笑)。
――試合の話を聞かせていただければ。初回の攻防は、リングサイドからどう見えていましたか?
あの衝撃的ダウン…なぜ起きた?
山口 尚弥選手はつとめて慎重に、そして冷静に、自分の距離を確認しながら戦っていました。少なくともルイス・ネリ戦のように強引にいく感じではなかったですね。一方のカルデナスも、尚弥選手相手にビビっていなかった。多くの選手は1ラウンドでモンスターのスピードに圧倒されたり、ガードの上からパンチを食らったりして萎縮してしまう。でも、カルデナスはまったくひるんでいない。相当念入りに「井上尚弥」をイメージしてきたんだと思います。
――そして、問題の2ラウンド。あのダウンシーンは衝撃的でした。
<つづく>




