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井上尚弥を“苦しめた敗者”カルデナスに新事実…じつは「井上のスパーリングパートナー候補」だった男は、なぜ怪物からダウンを奪えたか? 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2025/05/08 11:03

井上尚弥を“苦しめた敗者”カルデナスに新事実…じつは「井上のスパーリングパートナー候補」だった男は、なぜ怪物からダウンを奪えたか?<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

戦前の予想を覆し、王者・井上尚弥からダウンを奪うなど果敢な闘いを見せた挑戦者カルデナス

敗戦後、カルデナスが静かに強調した言葉

 井上に勝つため、カルデナスは己のパワーを信じて強打を臆せずに振っていった。「イノウエは手の下がる瞬間がある。そこを狙った」との言葉通り、2回にダウンを奪って井上ファンを凍りつかせた。その後も押され気味ながら、最大の武器である左フック、右ストレートで対抗し、ファンの目を釘付けにする熱戦を展開した。

 そのがんばりも、7回にダウンを喫し、8回に連打を浴びたところで終わりを告げた。負けはしたが、井上に「映像で見たよりも強い選手だった」と言わしめた。おそらくお世辞ではないと感じた。井上は「(打ち合って)楽しかった」とも口にした。こう言われてうれしくない挑戦者はいないはずだ。

 カルデナスは試合後、静かな口調で「負けることなど気にしていなかった。自分がすべきことのすべてをそこに注ぎ込むだけだった」と全身全霊をかけてファイトしたことを強調した。そして最後に次のような思いを明かした。

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「生活をするためにどんなことをしていても、自分にゴールがあることを忘れず努力していればいいことがある。それを若い人たちに伝えられたのではないかと思う」

終わってみれば“当然の結末”ではあるが…

 無名の挑戦者が比類なき王者に敗れた。終わってみれば当然の結末ではあった。それでもなお、カルデナスの覚悟と勇気は観る者の心をゆさぶった。T-モバイル・アリーナのメインイベントにふさわしい試合だった。気持ちのいいチャレンジャーをラスベガスで見た。

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