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「イシカワは継続性を欠いた」現地紙は石川祐希にも厳しい評価、ペルージャまさかの3連敗でリーグ制覇の夢破れる…“王者”に起きた異変とは?
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弓削高志Takashi Yuge
photograph byPA Images/AFLO
posted2025/04/26 06:02

プレーオフ第5戦ではスタメン出場したペルージャ石川祐希(29歳)。13得点をあげたが、ファイナル進出は果たせなかった
5288人の大観衆で埋まったホームアレーナ「パラ・バルトン」での第3戦も、石川は試合時間のほとんどをリザーブエリアで過ごした。彼は顔を上げ、いつ起用されてもいいよう体を温め戦況を見守っていた。
チームは苦戦しつつもチヴィタノヴァにくらいつきタイブレークに持ち込んだ末、14-13でマッチポイントを先につかんだ。つまり、ファイナルへの切符は目の前にあった。しかし、ペルージャはここで決め手を欠き、プロトニツキがブロックされ、試合を落としてしまう。
敵地のすさまじいブーイングに晒されながら途中出場で気を吐いた第4戦もストレート負けし、ペルージャは後がなくなった。
まさかの連敗で迎えた運命の第5戦
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チーム全体でレセプションが乱れ、イタリア代表主将のセッター、シモーネ・ジャンネッリのトスワークが不安定だった。攻撃陣が満足に機能できていないことも明らかだった。
先発選手の平均身長差はセッターをのぞくと6.2センチもあった。高さが足りない分、石川含むペルージャのOHはつねに最高到達点とフルパワーのスパイクを要求される。疲れが蓄積し、じわじわとアタックの高度が下がり、相手ブロックから封じられる頻度も上がる。結果、ラリーで競り負ける。2月下旬に腰の椎間板ヘルニア手術で戦線離脱したイタリア代表ミドルブロッカー(MB)ロベルト・ルッソ不在の影響は重くのしかかった。
運命の第5戦に向けて、石川は開き直ったようにも見えた。
「1本のミスで1セット取れるか取れないかが変わる。そういうミスをなくしたい。最終戦なのですべてをぶつけるしかない。今、相手は非常にノッていますけど、そこは関係なくもう一度自分たちのプレーをしたい」
決して焦りはない、とも強調していた。チームが窮地に追い込まれても、あくまで平常心を貫こうとする姿勢は、いかにも石川らしかった。