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「モネ・チバですか?」海外ファンの人気が急上昇…19歳日本人スケーター「すごいやばかったです!」千葉百音が取材陣に見せた笑顔の理由
posted2025/04/17 17:02

3月の世界選手権で銅メダルを獲得した千葉百音
text by

田村明子Akiko Tamura
photograph by
AFLO
ボストン世界選手権で、坂本花織に次いで3位となり、銅メダルを手にした19歳の千葉百音。今季はGPファイナルでも2位に入り、強豪がひしめく日本女子の中でも存在感をしっかり強めてきた。
ボストン世界選手権の女子SP終了後、記者会見で「(フリーまでの)明日の1日の休みはどう使いますか?」という質問が出た。1位のアリサ・リュウ、3位だったイザボー・レヴィトの2人が口々に「ボストン観光したい」「お店がたくさんあるのでショッピングに行きたい」などティーンエイジャーらしい屈託ない回答をして盛り上がっている中で、2位に立っていた千葉はこう答えた。
「フリーで勝負が分かれると思うので、今回ボストンに来て楽しみなこともたくさんあるんですけど、明日1日まずはしっかり身体を休めて、明後日また全力、練習通りの力をしっかり発揮できるように、自分の中でコンディションをしっかり整える日にしようと思います」
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凛としたその姿勢に、さすが日本を代表する選手、と誇らしい気持ちになった。この生真面目さが、千葉を世界のトップに押し上げてきたのだ。
“泣き顔”は良い緊張の証拠
この2日後のフリーでは、千葉は艶やかな紅色の衣装を着て氷の上に立ち、濱田美栄コーチとおでこを合わせて何か言葉を交わすと、リンクの中央に出てきた。
ドナ・サマーで滑ったSPの時に比べると、表情が硬い。だがちょっと泣き顔になるのは、良い緊張が出来ている時なのだと本人から以前に聞いていたので、良い演技をするだろうという予感があった。
ローリー・ニコルが振付のフリー「アリアナ協奏曲」で、3フリップ+3トウループから演技を開始。次の3サルコウでは回転不足で着氷が少々つまったが、持ち直して3ループ、2アクセルときめていった。コレオシークエンスのスパイラルのポジションの美しさが際立つ。後半は2度目の3ルッツが回転不足になった以外ノーミスで、最後まで丁寧に滑り切った。
演技を終えると少しだけ首をかしげ、すぐに笑顔になった。SPに続いてフリーでも自己ベストスコアを更新し、215.24で3位入賞。2度目の挑戦の世界選手権で表彰台に上がった。