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「ベイスターズは逆境になぜ強いのか」DeNA三浦大輔監督が明かす“逆境に打ち勝つマインド”「ナニクソ、なめられてたまるかって」

posted2025/04/04 17:02

 
「ベイスターズは逆境になぜ強いのか」DeNA三浦大輔監督が明かす“逆境に打ち勝つマインド”「ナニクソ、なめられてたまるかって」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

昨季は就任4年目にして日本一となった三浦監督。Aクラス入りは3度だが、リーグ優勝はまだない

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村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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Naoya Sanuki

 現役時代の通算成績は172勝184敗。横浜一筋に生きてきた指揮官は、誰よりも逆境を知り、逆境に耐え、「ナニクソ」とパワーに変えてきた。そのマグマが爆発したように日本一まで辿り着いたが、夢はまだ途中。心をひとつにした仲間たちと今季、どんな物語を描こうとしているのか。
 発売中のNumber1117号に掲載の《[指揮官インタビュー]三浦大輔「堪える力は、自分の強みです」》より内容を一部抜粋してお届けします。

“横浜一心”から4年を掛けて

「ベイスターズは逆境になぜ強いのか」

 その特集タイトルを聞いて思わず怯んでしまった。本当に、そうなのか。確かに昨年の後半戦、“勝ち切る覚悟”を打ち出してからの巨人とのクライマックスシリーズ、2連敗の逆境を撥ね退けたソフトバンクとの日本シリーズの強さは映画になるかと思うほど見事だった。勢いだけじゃない。完全に主導権が相手に渡ってからの徳俵での粘り腰と大逆転劇。この集中力は本物か。短期決戦だからじゃないのか。本当に逆境に強くなったのか。

「確かに、去年の日本シリーズを勝てたことで“逆境に強くなった”と言われることが増えましたけど、あの短期決戦の土壇場になって急に『よし、やるぞ』と言ってできるものじゃないですからね。逆境は昔からずっとありました。勝てなかっただけでね。そこで戦ってきた選手たちの気持ち、悔しさの積み重ねですよ。自分が監督になった最初の年、チームスローガン“横浜一心”を掲げました。皆が同じ熱量で気持ちをひとつにする。口で言うのは簡単だけど容易なことじゃないですよ。でも、“横浜一心”から4年の時間を掛けて、やっと日本シリーズで勝てるところまで辿り着いた。そういうことでしょうね」

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 三浦大輔が監督になった2021年1月。最初に球団が打ち出したテーマが“横浜一心”だ。選手やコーチ、スタッフ、ファンの方すべてがひとつになるとき、本当の強さになる……だが、その年は6年ぶりの最下位という現実を突きつけられる。

ジレンマを最も体験してきた人こそ三浦大輔

 しかし「一心」は継続された。心。'22年、メンタルコーチに遠藤拓哉氏が就任。日本のプロ野球チームで初めてチームに常駐し、一心を求めた。

「チームスローガンは毎年置き換えているわけではなくずっと継続されてきたものです。2年目以降「横浜反撃」、「横浜頂戦」、「横浜進化」と積み重なっても、一心というテーマは常に持って戦ってきました。さらに2年目からはメンタルコーチが入った。選手たちだけでなく、コーチやスタッフなど球団に関わるすべての人に前向きな言葉で日々話をし続けてくれただけでなく、間に入りコミュニケーションの潤滑油になってくれたこと。そういう積み重ねが、あの短期決戦での逆境にも打ち勝てるマインドへ持っていけた要因のひとつだと思います」

【次ページ】 たった一度の成功体験

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#横浜DeNAベイスターズ

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