オリンピックへの道BACK NUMBER

「ロコ・ソラーレだったら…」という声も…フォルティウス“世界選手権の大苦戦”はなぜ起きた? 韓国、中国にも敗戦の裏に「序盤の大量失点」 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph byJIJI PRESS

posted2025/03/30 11:01

「ロコ・ソラーレだったら…」という声も…フォルティウス“世界選手権の大苦戦”はなぜ起きた? 韓国、中国にも敗戦の裏に「序盤の大量失点」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

4勝8敗の成績で世界選手権を終えたフォルティウス

手ごたえを得るショットもあったが…

 試合が進む中、ショットについては吉村、リードの近江谷杏菜らはよく投げられていると手ごたえを得ているコメントをしている。ただ、上位に入ったチームと比べるとショットがつながらない、つまり好ショットのあとにそれをいかせないショットになる、あるいはここいちばんのショットが決まらない場面も散見された。

 例えば3月18日のアメリカ戦は9エンドまで6-5とリードしていたが10エンドに大量4失点、6-9で敗れた。その10エンドでは9投目でアメリカのストーンのテイクに失敗し、ガードのアメリカのストーンをハウスに入れてしまったことで一気に大きなピンチに陥った。

 3月19日のスコットランド戦は5-6。この試合では5エンドの最終投が予定より短くなって1点スチールされ、8エンドの最終投では長くなりすぎて2点獲れるはずが1点にとどまった。

ADVERTISEMENT

 競り合う試合も多い中、組み立て方、ショットのほんとうの精度という部分で後れをとり、勝ちを逃していった。

「ロコ・ソラーレだったら…」という声も

 日本選手権でみられたような力は出し切れなかった。先にあげた大会全体を見通しての特に序盤の試合の進め方、ショットを決めきれなかったことなどのポイントを総体的に捉えれば、経験という部分に行き着くかもしれない。カーリングの専用施設ではないアリーナアイスの会場は、外気などの変化を受けやすい。コンディションを読むのも比較すれば簡単ではない。条件はどのチームも一緒とはいえ、対応できなかった面があるとすれば、それも経験に行き着く。フォルティウスも国際大会にも出場し経験を積んできたチームだが、世界選手権は4年ぶり。これまでとは異なった部分もあっただろう。

 大会が進むにつれて、「ロコ・ソラーレだったら」という声も聞かれた。ここいちばんの経験では、オリンピックや世界選手権で大勝負の場数を踏み、表彰台に上がってきたロコ・ソラーレに一日の長がある。だからどうしても比較はされる。

「自分たちが思い描いてきた結果で終わることはできませんでしたが、積み上げてきたものは今後にいかせると思います」

「経験を次にいかせていけたら」

 と吉村は語っている。糧になるのは間違いないし、外部の評価を覆すためには生かすほかない。

【次ページ】 日本は“2つしかない出場枠”を争うことに

BACK 1 2 3 NEXT
#フォルティウス
#ロコ・ソラーレ
#SC軽井沢クラブ
#ミラノ・コルティナ五輪
#オリンピック・パラリンピック

冬季スポーツの前後の記事

ページトップ