誰も知らない森保一BACK NUMBER
ある日本代表選手が証言「監督の気持ちが伝わってくる」森保一監督“ほぼ寝ないで”朝4時に見送り…本人が語る組織論、代表チームに見せた「1枚の紙」
text by

木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byKeiji Ishikawa
posted2025/03/26 11:36

NumberWebのインタビューに応じた森保一監督(56歳)
「やらされているという感覚で行動するのと、主体的に行動するのでは、間違いなく後者の方が力を発揮できる。だから頭ごなしに指摘せず、『投げかけ』をよく使っています。
選手にもスタッフにも『どうしたらいいと思う?』、『どうだった?』と私から質問をして考えてもらうんです。投げかけられた側からしたらプレッシャーがかかるかもしれませんが、自分で考えてやった分、必ず身になる。
もちろん挑戦するわけですから失敗もありますよ。そこはリーダーが覚悟しなければならないし、絶対に失敗してはいけない局面もあるのでそこは見極めなければならない。そういうなかで、“失敗してもらう”というケースもある。挑戦してうまくいけば最高ですが、必ずしも成功をノルマにしないということです。
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大きな目標があって組織がどう向かっていくかを考えれば、自然にリーダー自身の『自己』はどこかへ飛んで行くのかなと。最終的にリーダーの『自己』はなくなると思います。リーダーが自分を信頼し過ぎると、『あなた自身のためにやっているでしょう?』と思われかねない。受け取り側はストレスが溜まるし、反発を覚える。それでは大きな目標を達成できません」
「怖い上司」の一面とは…?
リーダーシップに関してはさまざまな研究があり、「支配型リーダーシップ」と「支援型リーダーシップ」という分類がある。
前者が「権力を用いて部下を動かす」のに対し、後者は「対話を通じて行動を促す」。現代は個人の活躍がより重視され、「支援型リーダーシップ」がサーバント(奉仕者)リーダーシップという概念であらためて注目されている。
森保流はまさしくサーバントリーダーシップだ。選手たちの能力を信じ、支援することで成長を促して大きな目標を達成しようとしている。
しかし、森保監督は決して選手に甘いわけではない。
実際はその逆だ。極めて「怖い上司」の一面を持っている。
