誰も知らない森保一BACK NUMBER
ある日本代表選手が証言「監督の気持ちが伝わってくる」森保一監督“ほぼ寝ないで”朝4時に見送り…本人が語る組織論、代表チームに見せた「1枚の紙」
text by

木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byKeiji Ishikawa
posted2025/03/26 11:36

NumberWebのインタビューに応じた森保一監督(56歳)
あとスタッフたちもすごいなって。早朝にロビーへ行くと、スタッフの頑張りを感じさせてもらえる。みんなのハードワークを目にすると、自ずと感謝の気持ちが湧き上がってきます。決してスタッフの働きぶりを監視しているわけではないですよ(笑)」
朝4時に監督が見送りに来たら、嬉しくないはずがない。ある代表選手は「(監督の)気持ちが伝わってくる」と証言する。
「僕自身も見られている」
ただし、このエピソードをただの美談ですませたら、森保哲学の深部に迫ることはできないだろう。
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実はこの行動には感謝を伝えること以外に、もうひとつマネジメント面の重要な狙いがある。
選手たちに伝えている行動規範を、監督自ら実践して見せる、という意図だ。
「見られているからといって善い行いをしようとは思っていないですが、やっぱり見られていることは意識していますね。自分が選手やスタッフに求めていることをまず自分が率先する。それが僕の基本姿勢です」
日本代表の一員として、ピッチ内外でどう行動してほしいか――。森保監督はチーム理念とコンセプトを書いた一枚の紙を作っている。
「みんなはチームのために頑張る」、「走る」、「規律を持って戦う」……など、約10個の項目があり、企業で言うところのクレド(行動規範)だ。
代表スタッフへの問いかけ「どうしたらいいと思う?」
カタールW杯後、第二次森保ジャパンの最初のミーティングで選手たちにプロジェクターで示し、定期的にリマインドしている。
「まずスタートミーティングで示しました。戦術的な内容というより、姿勢に関するものです。紙をお見せしてもいいですが、多分内容が一人歩きするでしょうから(笑)。出せるタイミングがあれば、またお見せしたいと思います。
こういう内容を選手とスタッフに求めているので、まずは監督がそれを率先することを意識しています」
指示してやらせようとするのではなく、背中で見せて行動を促す。そうするのは「主体性」が成長の鍵だと考えているからだ。