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野球クロスロードBACK NUMBER
「言い訳するのが嫌なんです」体幹トレーニングは「丸太を利用」、守備や走塁「部門別に班分け」…長崎・壱岐高が“離島からの甲子園”に辿り着くまで
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/21 17:03

離島のハンデを跳ね返し甲子園にやってきた壱岐高。今後は「甲子園で勝てるチームを目指す」という
キャプテンも務めるエースの浦上脩吾は、自身のフェリー時間をこう話す。
「目標を高く持って、それをどうやるかという話をしたりしています。ひとりの時間でも、自分は低く投げることを常に意識しているので、そうするためには何をすればいいのか? とかを考えるようにしています」
監督の坂本徹が「言い訳するのが嫌だ」と意思を表したように、マイナス要素をもプラスに転換できる術を壱岐は持っている。
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ただ、悩みの種がないわけではない。
それが、人材の流出である。
中学で実績を挙げた選手の多くが、島外や県外の高校へ進学してしまう。そんな危機的状況に歯止めをかけたのが今の3年生だ。
「離島でもやれる」…集まった「黄金世代」
きっかけは、中学時代に全国大会を経験していた山口廉斗の呼びかけだった。22年にセンバツ出場を果たした、鹿児島県の大島の快進撃を知るうちに「離島の高校でもやれる」と中学のチームメートを誘った。ファーストの日高陵真などが賛同し、浦上ら島内の他の中学生たちも続々と壱岐に集結していった。
この“黄金世代”たちが、坂本の導きによってチーム力を醸成させていく。
「『離島だから』と思うのではなくて、都会のチームに負けないようにするためには、やっぱり自分たちで考えて野球をするような取り組みが大事になってきます。それができてきて、ようやくチームとして戦えるようになったかな、と思います」