F1ピットストップBACK NUMBER

現行レギュレーション最後のF1開幕、大激戦必至のシーズンを制するのは誰? 最右翼はマクラーレンのノリスだが…《オーストラリアGPプレビュー》 

text by

尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2025/03/15 11:04

現行レギュレーション最後のF1開幕、大激戦必至のシーズンを制するのは誰? 最右翼はマクラーレンのノリスだが…《オーストラリアGPプレビュー》<Number Web> photograph by Getty Images

今季の王者候補と目されるノリス(マクラーレン)。金曜のフリー走行2回目ではルクレール(フェラーリ)、僚友のピアストリに次ぐ3番手となるタイムを記録

 時代の幕が降りるのは、現行のレギュレーションだけではないかもしれない。「フェルスタッペンの時代」もまた終焉を迎える可能性がある。21年にハミルトンとの激戦を制してチャンピオンに輝いたフェルスタッペンはその後、レッドブルとともに新たな時代を築いた。22年に連覇を果たすと、23年には1シーズンで19勝を挙げ、自身が前年に樹立した15勝という年間最多勝利数を大きく更新。この年、レッドブルは22戦中21勝を果たし、88年にマクラーレンが打ち立てた年間最高勝率も抜いた。

 しかし、その勢いは昨年突如、翳りを見せた。ドライバーズ選手権はフェルスタッペンがなんとか死守したものの、コンストラクターズ選手権はマクラーレンが奪還。今季開幕前の合同テストでもレッドブルの苦戦は続き、現時点でフェルスタッペンの5連覇はかなり険しい状況となっている。

 4連覇以上タイトルを独占してきた王者が頂点の座を譲ったシーズンは、F1の75年の歴史で過去に4回しかない。1度目は58年で、4連覇していたファン・マヌエル・ファンジオが事実上引退し、マイク・ホーソーンが初の王者となった。2度目は05年で、フェルナンド・アロンソがミハエル・シューマッハの6連覇を阻止した。3度目は14年で、4連覇中だったセバスチャン・ベッテルに代わってハミルトンが王座に就いた。そして4度目が前述の21年で、フェルスタッペンがハミルトンを破った。

ADVERTISEMENT

 14年のハミルトン以外、連覇を止めたのはいずれもそれまで無冠の挑戦者だった。

今季の本命マクラーレンのマネージメントに注目

 昨季、コンストラクターズタイトルを勝ち取り、今季開幕前の合同テストで安定した速さを披露したマクラーレンが現時点での本命だろう。だが、たとえマクラーレンが独走しても、チャンピオンシップ争いが落ち着くとは限らない。昨季、ドライバーズ選手権で2位に躍進したランド・ノリスが最右翼だとしても、チームメートのオスカー・ピアストリの存在も忘れてはならないからだ。

 今季開幕戦オーストラリアGPが始まる直前の3月12日、具体的な契約期間は明らかにされていないものの、マクラーレンはピアストリとの契約延長を発表。すでに26年までの契約を結んでいながら、それ以降も共に戦う道を選んだ。

 前評判通りマクラーレンが頭ひとつ抜けていたとしても、チームメート同士でシーズン終盤までタイトルを争う可能性は十分に考えられる。そのとき、マクラーレンはふたりのドライバーをどのようにマネージメントしていくのだろうか。

 開幕戦の舞台はピアストリの地元であるオーストラリア・メルボルン。今季のF1は、初戦から激しく火花が散る戦いを見られるかもしれない。

関連記事

BACK 1 2
#マックス・フェルスタッペン
#レッドブル
#ランド・ノリス
#オスカー・ピアストリ
#マクラーレン
#ルイス・ハミルトン

F1の前後の記事

ページトップ