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現行レギュレーション最後のF1開幕、大激戦必至のシーズンを制するのは誰? 最右翼はマクラーレンのノリスだが…《オーストラリアGPプレビュー》

posted2025/03/15 11:04

 
現行レギュレーション最後のF1開幕、大激戦必至のシーズンを制するのは誰? 最右翼はマクラーレンのノリスだが…《オーストラリアGPプレビュー》<Number Web> photograph by Getty Images

今季の王者候補と目されるノリス(マクラーレン)。金曜のフリー走行2回目ではルクレール(フェラーリ)、僚友のピアストリに次ぐ3番手となるタイムを記録

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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 今年、創設75周年を迎えたF1は、ひとつの時代に幕を下ろすことになる。

 2026年からはマシンの電動パワーの比率が大幅に高められるなど、新規則の下で新たなパワーユニット(PU)が導入されるからだ。14年に導入されたMGU-H搭載のハイブリッドPUで走るのは今季が最後。車体に関するレギュレーションも来年から大きく変更され、22年から導入されたグラウンドエフェクトカーも見納めとなる。

 F1は安全性向上や競争力を均等化する目的で、レギュレーションを数年に一度、見直してきた。そして、ひとつの時代に幕が降りようとしているとき、その最後のシーズンには最終戦まで決着がつかない大激戦が何度も繰り返されてきた。

レギュレーション変更が演出した激戦

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 09年には空力面での新レギュレーションが導入され、前後のウイングに大幅な変更が加えられたが、その前年にあたる08年はルイス・ハミルトン(マクラーレン)とフェリペ・マッサ(フェラーリ)によるチャンピオンシップ争いが最終戦までもつれた。その最終戦も劇的な結末となった。マッサがトップでチェッカーフラッグを切った瞬間は、マッサが逆転で暫定チャンピオンとなっていた。しかしその直後、最終ラップの後半区間でハミルトンがひとつ順位を上げてチェッカーを受け、失いかけたタイトルを取り戻すという劇的なフィナーレとなった。

 ダウンフォースに優れるグラウンドエフェクトカーが導入される前年の21年もまた、稀に見る激戦となった。通算7度の王座を獲得していたハミルトン(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)による一騎打ちは同点のまま最終戦を迎えた。その最終戦をリードしたのはハミルトンだったが、レース終盤に導入されたセーフティーカーがふたりの命運を分けた。レースは残り1周で再スタートが切られ、そのファイナルラップでフェルスタッペンがハミルトンをオーバーテイクし、初戴冠となった。

 レギュレーション変更の前年に決まって熱い戦いが繰り広げられるのには理由がある。チーム間の実力差はレギュレーションが変わるときに最も広がる。その後、レギュレーションの理解度が進み、レギュレーションの解釈を巡る正解が見つかり始めると、開いていたチーム間のギャップは徐々に詰まり、熱戦が繰り広げられるというわけだ。

【次ページ】 今季の本命マクラーレンのマネージメントに注目

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