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投手・大谷翔平復帰が6月なら「9勝95奪三振、防御率2.80」と予想するが“2度目のトミージョン”だけに…二刀流継続へ「勝負の年」なワケ 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2025/03/18 06:04

投手・大谷翔平復帰が6月なら「9勝95奪三振、防御率2.80」と予想するが“2度目のトミージョン”だけに…二刀流継続へ「勝負の年」なワケ<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

2シーズンぶりにマウンドに上がる予定の投手・大谷翔平。復帰時期を6月頃として、成績を予想すると……?

 1度目のトミー・ジョン手術を受けたのは高校時代の2007年で、08年にドジャースに入団。ヤンキース時代の2015年には14勝を挙げたが、シーズン防御率はほぼ4点台だった。しかし2016年8月に2度目のトミー・ジョン手術を受けて、2018年シーズン途中にレッドソックスに移籍以降は成績がアップ。レンジャーズに移籍してからも2年連続で二けた勝利、防御率は6年連続で3点台をマークしている。

もし6月投手復帰なら、15~16登板か

 大谷は24歳の2018年と29歳の2023年に手術をした。一度目の手術からの復帰後は投球も安定し、規定投球回数に達した年もあるなど、リーグを代表する活躍をした。術後、復帰を焦って強引に体を動かすと仇となるケースもあるようだが――リハビリの方法論は、十分に理解しているはずだ。また、大谷は二刀流であり、マウンドに上がれなくてもバットで無双の活躍をしたのだから、過度の焦りはなかったと思われる。

 そんな投手・大谷についてロバーツ監督は「早ければ5月」の復帰と言っていたが、これは白紙になった。仮に投手復帰が6月10日だとすると、チームの68試合目前後となる。残り試合数は94試合前後。中6日で投げると、登板数は15~16となる。

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 2024年のドジャースは、先発投手陣げケガ人続出で崩壊した。もし今季も同じ状況になっても、チームの至宝・大谷翔平に無理をさせないだろう。

 それとともに、エンゼルス時代から大谷の球数が管理されていたのが明確なデータがある。

〈過去の大谷の1試合当たりの平均投球数〉
 2018年:85.3球(10登板853球)
 2020年:40.0球(2登板80球)
 2021年:88.1球(23登板2027球)
 2022年:93.9球(28登板2629球)
 2023年:91.0球(23試合2094球)

 投球数は最大で90球だとすれば、2025年の投球数は最大で1440球程度。イニング数は最大で6回だろうか。

 とはいえドジャースは相変わらずリーグトップの打撃力を誇る。ほかならぬ大谷がその中軸に座るのだが、援護点は大きいと考えられる。また今季、大谷はノーワインドアップ投法を導入するといわれる。これは、制球力をつける目的ではないかと推測される。一方で、伝家の宝刀の一つだった「スイーパー」は肘への負担を考えて、割合を落とす可能性もある。そうなれば奪三振率はやや下がるのではないか。

成績予想:9勝95奪三振、防御率は2点台後半か

 これらの要素を踏まえて、2025年の大谷翔平の投手成績を予想しよう。

〈2023年〉
 23登板10勝5敗132回18被本塁打55与四球167奪三振 防御率3.14
〈2025年〉
 16登板9勝3敗90回12被本塁打35与四球95奪三振 防御率2.80

 公式サイトのデプスチャート(出場選手予想)によると、ドジャースのローテは左腕のスネル、山本由伸、グラスノーときて、4番目に大谷翔平、5番目に佐々木朗希という並びだ。しかし大谷が出遅れることで、その順位は下がるだろう。

 大谷は「3度目の手術はもうない」と公言している。今年、うまくいかなければ、大谷は二本目の刀を収めて、「一刀流」で残りのキャリアをプレーする可能性があり得る。

 つまり今年、大谷がマウンドに上がるか上がらないかは、「二刀流」という前代未聞のポジションの存続にかかわることにもなる。そういう意味でも「節目」のシーズンになりそうだ。「打者・大谷編」からつづく〉

#3に続く
「“故障しない限り”の大前提で」ドジャース山本由伸・佐々木朗希の成績予想は“エース級”…大谷翔平と「3人で33勝450奪三振」も現実味

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