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後藤洋央紀45歳「オレはバカです。家業を継がず…」亡き父に捧げるIWGP戴冠…“9度目の正直”がファンの胸を打った理由「ベテランの挑戦、何が悪い」
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原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/02/14 17:05

悲願のIWGP世界ヘビー級王座を手にした後藤洋央紀(45歳)。2月11日、大阪府立体育会館
これまでの最後の挑戦は2016年2月11日、大阪府立体育会館。後藤は全身を白く塗り黒い「写経」ペイントで試合に臨んだ。あの時は、「今度こそ取れるんじゃないか」と多くの人が期待した。だが、完敗だった。オカダのレインメーカーに沈んでしまった。それから、後藤のIWGPへの挑戦は途絶えた。
「これが最後になるかもしれない」後藤洋央紀の覚悟
あれから9年。もう後藤のIWGPへの挑戦はないものと思っていた。後藤とIWGPが結びつかなかった。それなのに風向きが変わった。
昨年3月、長岡での『NEW JAPAN CUP』決勝戦で後藤は辻陽太と戦って敗れたが、この試合が12月に、2024年プロレス大賞の年間最高試合賞に選ばれた。この選出は後藤の追い風になった。
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そして1月4日の東京ドーム。IWGP次期挑戦者決定戦と銘打たれたニュージャパンランボーで後藤は優勝することができた。後藤はまさかと思われたチャンスをつかんだ。
「9回目のIWGP挑戦。これが最後になるかもしれない、という覚悟はできてます。過去8回、負け続けてきましたが、9年前とまったく同じ2月11日で大阪府立体育会館。何か運命的なものを感じる。格好つけることもないし、オレの格好悪いところはみなさん散々見てきてるだろうし、今は無理して格好つける必要もない。自分だけでなく応援してくれるファンの方々と一緒に夢を見たいですね。オレらの世代、結構追いやられてるイメージがあると思うんですけど、ここはオレが先頭に立って、若い世代のヤツらに見せつけなければいけない。そういう風に思ってます。新しい技っていうのはないです。ただ出してない技、彼の知らない技っていうのはまだあると思うので」
これに対してザックはこんなことを言っていた。
「ファンがほぼ後藤の応援に回っていることも知っている。だけど、2人の間には大きな違いが一つある。オレはIWGP世界ヘビー級チャンピオン。この6カ月間、十分な活躍をしてきたし、『G1 CLIMAX』で優勝し、IWGP世界ヘビー級王座を奪取し、プロレス大賞MVPも獲得した。そして今年の東京ドーム2連戦のメインイベントでIWGP世界ヘビー級王座を連続防衛した」