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「米球界でも差別は感じることはありますが」28歳女性コーチが沖縄でトライアウト選手の涙にもらい泣き…初来日で感じた「人生が変わるきっかけ」 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2025/02/05 06:00

「米球界でも差別は感じることはありますが」28歳女性コーチが沖縄でトライアウト選手の涙にもらい泣き…初来日で感じた「人生が変わるきっかけ」<Number Web> photograph by Kou Hiroo

マイナーリーグでのコーチ経験もあるサラさん。日本野球の印象は?

「アメリカでも多様性が大事にされてきたから、フィールドの外では栄養士やアナリストなどは、女性が担当するようになりました。そしてフィールド内でも私のように、コーチをする人も増えてきているようです」

――選手に対しては、どんな指導をしているんでしょうか。

「もちろん、メジャーリーガーがやってきたときなど、いきなり私の意見を突然押し付けることはしません。まず相手のことを知った上で、コミュニケーションを取って会話を進めていくというやり方です。日本でも同じですね」

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――選手としても現役でプレーをしているそうですが。 

「10月に野球のアメリカ代表大会があって選手として出場しましたが、2025年はプレーするかどうかは分かりません」

米球界でも差別を感じるが日本のJWLは快く…

――JWLにはなぜ参加しようと?

「ベースボールジョブズオーバーシーズから、2023年はジミー・ジェンセンというスタッフが派遣されましたが、そのジミーから推薦されました。外国人選手がたくさん来るのでそのサポートをしてほしいとのことでした。ジミーは『去年のJWLでの体験がすごく良かったから、2024年は君にバトンタッチしたい』と言いました。

 そもそも日本に来るのが初めてだったので、文化とか、環境がどうなのか、わからない中でした。また、アメリカの野球界でも女性に対してはまだ強い差別を感じるときがありますが、日本はどうなのか、と不安でした。でも、選手もコーチ陣もスタッフも、快く受け入れてくれて。女性として見られるというより、ゲームコーディネーターの一員として見られているのが、すごくいいですね。日本人選手も含め全員がリスペクトしてくれていることで、すごく気持ちよくこのリーグを全うできました」

――今年はNPBの選手もやってきましたね。

「NPBの選手が来るということで、最初はレベル、経験値の高いすごい選手が来るのかと思いましたが、19歳や20歳の選手だったので、少しほっとしました。フィリーズのマイナーでのコーチ時代は、ルーキーリーグの選手を指導してきたので、同じ感覚で指導をすることができ、すごく入りやすかったです」

監督をしたの初めてでしたが…

――JWLでの4週間の経験はどんなものだったでしょうか。

「JWLは、私の人生が変わるきっかけを作ってくれました。いろんな人たちと触れ合った中で、また新しい自分が生まれてくるきっかけになったと思います。最初は、アメリカの野球と日本、アジアの野球は全く違うものではないかと思いましたが、こうしていろんな国から来た選手と触れ合うことで、やはり野球というのは、あまり大きな違いがない、同じなんだなということを再認識できました」

―通訳をお願いしたゲームコーディネーターの坂梨広幸氏(野球オーストリア代表監督)は「サラの打撃指導は、レベルが高い」、選手からは「キャッチングの指導がすごい」という声が上がっていました。

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