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「僕はセレモニーをしてもらうまでの選手になれなかった」大田泰示は静かにDeNAを去って…古巣コーチ就任へ「泥臭くやってこられたのが財産」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byMiki Fukano

posted2024/12/26 17:04

「僕はセレモニーをしてもらうまでの選手になれなかった」大田泰示は静かにDeNAを去って…古巣コーチ就任へ「泥臭くやってこられたのが財産」<Number Web> photograph by Miki Fukano

すでにジャイアンツアカデミーのコーチとしての仕事も始めつつあり、取材は読売新聞ビルで行われた

「未経験ですからね。プレイヤーではなく、人に伝えることが仕事になるので、知識はもちろん言葉のチョイスや声のトーンなど、いろんな勉強をしていかなきゃいけない。ましてや一番純粋な子どもたちを相手にするので、決して簡単なことではありません。まあ何事もチャレンジが必要ですし、スタートさせることが重要。とりあえず探りながら先輩方の姿を見たり、違う業種の方々とコミュニケーションを取りながら勉強していきます」

「意外と落ち込んでないんだねって」

 想いを伝えることも、聞く耳を持つこともできる選手だった。だからきっといい指導者になるのではないかと感じてならない。なにより大田自身が新しい職場にワクワクしている様子が伝わってくる。

「はい、結構楽しみなんですよ。心配してくれた家族や親戚、古い友人たちに会うと、意外と落ち込んでないんだねって言われるんです。そういう意味ではきちんと次に向かえているんだなって思います。頭の中で想像するばかりですけど、ワクワクしかないんですよ。きっと壁にぶつかるでしょうが、それも楽しみながらやれたらと思っています」

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 引退をしても大田泰示は、大田泰示のままだ。野球大好き人間の大田が、どんな野球キッズたちを育てるのか楽しみだ。

「プロを目指す子どもたちもいれば、これから始める子たちもいるでしょうから、とにかく野球の面白さを伝え、そして興味を持ってもらえるように活動していきたいですね。そしていつかプロになれなかったとしても、野球で人生が救われましたとか、生きていく上で野球をやってきて良かったっていう人を増やせればいいかなって思っているので、まずは地道にやっていきます」

なぜ横浜でセレモニーをしなかったのか

 野球を愛し、野球に愛された男は、実感を込めてそう言った。

 新しい門出はめでたいことではあるが、まだ引退から日も浅いこともあり、どこか寂しさもつきまとう。思うのは、最後にハマスタでファンの前に姿を見せて欲しかったということだ。ただ、引退セレモニーの機会は望めばあっただろうが、そうしなかったのも大田の美学だった。

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