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「スクワット1日1000回、キックは10日で1万回」愛弟子が明かす長与千種のスター性「長与さんは一番大事なことを一番最初に教えてくれた」
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTOKYO SPORTS PRESS / Sankei Shimbun
posted2024/12/05 17:00

(左)全日本女子プロレス時代のライオネス飛鳥は、引退試合で立野記代と対戦(右)長与千種がGAEA JAPANでの引退試合で戦った相手は、愛弟子である里村明衣子だった
「スクワットは月曜日、スパーリングの後に1000回やってましたね。そこから火曜が800回、水曜が600回と減らしていって、日曜が休みで月曜からまた1000回。蹴りは1日1000本が基本です。ミドルキック50連打を10セットやったら500本。そこで次の蹴りに移る。10日で1万回ですよね。それを続けて、ようやく思い通りに蹴ることができるんです」
自分は長与千種のようなスターにはなれない。里村はそう考えてきた。ただガイアで長与に教わった練習とプロレスに対するスタンスだけは受け継いできたという。
「ガイア時代に付き人をしていると、長与さんが行くところ、歩くところにもの凄い人だかりができるんです。それをかき分けるのも付き人の仕事で。スポーツカーに乗っている姿もかっこよかった。でもそれは一種のパフォーマンス。本当は贅沢に興味がない人なんです。食事に行くと周りに美味しいものを食べさせて、自分ではあまり食べてなかったですね」
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ガイア解散後、長与は2014年にマーベラスを設立。彩羽匠、桃野美桜といった新たな強豪を育てている。マーベラスの大会では、リングサイドで生配信用のカメラを自ら操る長与の姿が見られる。
「私としては、もっとどっしり構えててほしいんですけど(苦笑)。でも、それも長与さんの凄さ。団体の規模に合わせて、手が足りなければ自分で何でもやる人なんですね。大スターだった自分をあっさり捨てることができるんですよ」
やることすべてが人目を引く、天性のカリスマだけが長与千種ではないのだ。里村は、長与が「自分はスターじゃない」と言っているのを聞いた。なぜなら「努力してここまできたんだから」。
ライオネス飛鳥の巨大な才能
長与が努力を積み上げてきたのは、身近にライオネス飛鳥という巨大な才能があったからかもしれない。全日本女子プロレス(全女)で長与、飛鳥、ダンプの1年後輩だった立野記代が、経営する「ドリンクBAR GOHAN」で当時を振り返ってくれた。
「私は地元ではスポーツが得意なほうだったのに、全女に入ったら運動音痴だったんですよ。基礎体力からレベルが違って。中でも飛鳥さんは走るのも速いし、なんでもできて羨ましかったですね」
当時の全女は2班体制で大会を開催していた。飛鳥、長与、ダンプの代は特に人数が多かったそうだ。
「それで、会社がアパート借りてダンプさんたちはそこに住んでたのかな。若い世代が道場の上の寮に住んで。私の代は同期がどんどんやめちゃって、興行の班を分けると新人が私1人。だからバスの掃除とか、雑用は先輩たちも手伝ってくれました」
そんな新人生活の中で、立野はジャガー横田、ダンプになる以前の松本香、飛鳥と同じ「派閥」になる。
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