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33歳石川遼、なぜ米ツアー再挑戦を決めたのか?「(松山)英樹が活躍している今なら…もう一度やらせてあげたい」関係者が漏らした本音
text by
塩畑大輔Daisuke Shiohata
photograph byKYODO
posted2024/11/15 17:01
「ダンロップフェニックス」では6年ぶりに松山英樹(右)と同組になった石川遼。12月3日から行われる米下部ツアーの2次予選会にエントリーしたことを明かした
2023年のZOZOチャンピオンシップ。石川は優勝争いに割って入り、最終的に4位になった。多くのファンがプレーに熱狂し、心からの声援を送った。
長年抱えてきた腰痛の悪化もあって、2017年にPGAツアー(米国男子)のシード権を失った。復帰した国内男子ツアーでは、選手会長に就任した。
絶大な人気。豊富な経験、見識。試合数が減り続けるツアーを立て直せるのは、遼くんを置いてほかにはいない。そんな期待に応え、石川は男子ゴルフのフロントマンとして奔走した。
その働きは称賛されたが、一方でファンからは懸念もされた。ひとりのアスリートとして、自分の可能性を追求し続けることを、もしかしたらあきらめてしまったのではないか――。
ZOZOチャンピオンシップでの活躍は、そうした見られ方を払拭するものだった。4位に入ったことで、PGAツアーの次戦「ワールドワイドテクノロジー選手権」への出場権を得た。
世界に挑んでこそ石川遼。今年のZOZOチャンピオンシップでもその再現を。寄せられる期待は大きく、強かった。
スイングを見失ってしまった
「日本オープンで技術的な負債ができてしまった」
再び迎えるZOZOチャンピオンシップを前に、石川は現状をそう説明した。
直前に出場した日本オープン(10月10〜13日)では、ラフが驚くほど長く伸ばされていた。場所によっては、足を踏み入れた選手のくるぶしが、すっぽりと隠れてしまうほどだった。
フェアウェーキープは必須。難しいセッティングの中、ショットが好調だった石川は上位につけ続けた。長期にわたるスイング改造のたまものだった。
だが3日目から、ほんのわずかずつフォームが崩れ出した。優勝したい。この難コースに打ち勝ちたい。目の前の結果に気持ちが向き、スイングに対する意識が薄れだした。
気づいた時には遅かった。スイングが「先祖返り」をしてしまった。
ZOZOチャンピオンシップ、開幕直前。石川は報道陣に意気込みを聞かれ、こう語った。
「この大会を通して、どこまで戻していけるか」
この言葉は「大会の中で調整し、より上位を目指していく」と受け取ることもできる。この試合は他でもないPGAツアー戦だ。そう受け止めるのが、むしろ自然とも言えるだろう。
だが、石川の視線は、この大会の結果にだけ向けられているわけではなかった。
ドライビングレンジで5時間ももがき、苦しんでいた。それは大事な試合を前に、ボールを思い通りに操れなくなった焦燥ゆえではない。
築き上げてきたスイングを見失ってしまった。そのことに、石川は焦りを覚えていた。