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「めっちゃ笑ってたよね」取材が終わっても続いた、“りくりゅうらしい”会話…三浦璃来・木原龍一の成長が見えた、NHK杯アクシデントの舞台ウラ 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto

posted2024/11/13 11:00

「めっちゃ笑ってたよね」取材が終わっても続いた、“りくりゅうらしい”会話…三浦璃来・木原龍一の成長が見えた、NHK杯アクシデントの舞台ウラ<Number Web> photograph by Asami Enomoto

NHK杯フリーの演技を終えた三浦璃来・木原龍一の表情

 思いがけない出来事でもあったが、でも2人はそれをひきずらなかった。フィニッシュまで持ち味のスピード感をいかしつつ、リフトなどでも見せ場をつくった。

「(ミスが)出てしまってもそこから崩れることなく通常の技にしっかり戻れて集中を取り戻すことができたので、ほんとうにそこは成長したなと思いました」(木原)

 崩れなかった要因について、三浦は言う。

「スピンが終わった後に1回、休憩ポイントがあるんですけど、そこで龍一君がめっちゃ笑ってたんで、『大丈夫だ』と、そこで落ち着きました」

 そして木原を向き、語りかけた。

「めっちゃ笑ってたよね」

 木原は三浦にこう答えた。

「足ついたし、ノーカン(ノーカウント)じゃん。もうどうしようもなかったので。気持ち切り替えて休憩しようと思ってた。音が変わるところがあるので、(そこまでの時間が)だいぶ余っちゃったんで休憩するしかないよなって」

ミス後の対応に、りくりゅうの成長があった

 そこに感じられたのは動じることのない落ち着きだった。すると木原は笑った。

「32歳なんで」

 2019年、結成してまだそれほど時間が経っていない頃に三浦は2人の課題の1つをこう語っていた。

「ミスするとそこから崩れることがあるので」

 それを思い起こすとともに、あらためて2人の成長を思わされた。そして笑顔1つによって落ち着いたのもまた、2人が時間をかけて培ってきた信頼関係にほかならなかった。

 崩れることのない滑りの結果、スケートアメリカのフリー136.44点を超える137.55点を得た。

 木原は言う。

「目標にしていた、『スケートアメリカの得点を超える』を、1点でも達成できてよかったです」

【次ページ】 取材が終わっても続いた、りくりゅうらしい会話

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