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野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
「多くの人からバカじゃねえかと言われましたけど…」“ベイスターズの故郷”山口県下関で「ファンのための豚丼屋」を開いた「ある熱狂的ファン」の話
posted2024/10/30 17:06
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph by
Hidenobu Murase
下関に根付いたベイスターズファンの「熱」に気づいた西口プロレスのレスラーであるラブセクシーヤングは、地元で店を開くことにした。
しかし、下関で店をやるということは、神奈川から帰って来なければならないということ。これまで23年、やってきた西口プロレスは辞めたくない。ヤングは長州小力、アントニオ小猪木らに「西口を辞めずに下関で店をやりたい」と相談した。
「いいんじゃね。リモートだし」
世の中はコロナ禍だった。月イチの会議はリモートで、年に数回参戦するために東京へ行くということであっさり認めてくれた。不幸中の幸いでもあったが、コロナ中に飲食店を志すというのもかなりの逆境ではあった。
下関に「ベイスターズの豚丼屋」をオープン
2023年8月23日。下関市観音崎町、ベイスターズが日本一のパレードを行った通りにある雑居ビルの2階に豚丼屋「B☆WHALE」はオープンした。店の名は「B☆」ベイスターズと「WHALES」をつなぐという意味を持ち、キャラクターの豚はどことなくTBSのキャラ「ブーブ」を思わせる。
オープニングセレモニーは、東京から駆け付けてくれた長州小力VSアントニオ小猪木のエキシビジョンマッチが行われ、『大洋ホエールズ誕生!』などの著作を持つ地元の大洋ホエールズの歴史を記録する下関の会代表の佐竹敏之さんからは「これは君が持っていた方がいい」と中部兼市(※大洋ホエールズの初代オーナー)の胸像がプレゼントされるなど、華やかな雰囲気のなか、幸先のいいスタートを切った。
どうせベイスターズの店をやるなら、ただ集まるだけじゃなくて、日本一の店を出したい。
そんなヤングが絶対的な自信を持って選んだのが豚丼だった。神奈川に出てから用賀のブタリアンレストランで17年働いたノウハウと、地元山口県の『萩むつみ豚』。そして、米は下関市内で農業を営む平田真吾元投手(現アナリスト)のおじが作った『平田米』(キヌヒカリ)という最強の布陣。これが評判にならないわけがない。