オリンピックへの道BACK NUMBER
「龍一くんもネガティブになるんだ」三浦璃来が悩む木原龍一に伝え続けた“前向きな言葉”…りくりゅうが欠場期間に見つめ合った「新たな一面」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2024/10/23 11:00
スケートアメリカで優勝を果たした三浦璃来・木原龍一
三浦「龍一くんの新たな一面を知ることが…」
苦しむ木原に対し、三浦は「どうやったら支えられるのかをずっと考えていました」。
その中でとった行動は――。
「ほめていました。リフトのタイミングが合わなくなることが多かったので、例えばいいリフトをしたときに『今のリフトよかったよ』って」
その言葉に対して木原はこう返している。
「僕の方から要望したんですけど。『ほめろ』と(笑)」
ほめることも前を向くための手段だったろう。
何よりも関係性を見つめ直す契機となった。
三浦は言う。
「(木原は)どちらかというと引っ張ってサポートしてくれる側なんですけれど、そんな龍一くんでもネガティブな気持ちになるんだっていう新たな一面を知ることができましたね」
「璃来ちゃんがサポートをしてくれたので…」
木原はこう語っている。
「引っ張る立場が多かったのですが、僕が怪我をしたことによって璃来ちゃんがサポートをしてくれたので、そういう一面もあるんだな、と。どちらかが引っ張り続けるのではなくて、お互いが常にサポートし続けなければいけないんだなって思いましたし、僕が引っ張り上げるっていうより、お互いに引っ張り上げていった方がいい演技をもっと出せるんじゃないかなってあらためて思いました」
アクシデントがあった中にも糧を見出し、「僕たちは、何か試練があると必ず強くなって帰ってこれる」(木原)、「来シーズンはもっと強くなっていると思います」(三浦)と思いを新たにして迎えた今シーズンは上々の滑り出しとなった。
「改善すべきところもみつけられたので、2週間しかないですけど改善していけたらと思います」(三浦)
次戦は11月上旬のNHK杯。2023年4月以来の国内の試合へ向けて、さらなる向上を誓う。