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ボクシングPRESSBACK NUMBER
“衝撃の1回KO”世界3階級制覇王者・中谷潤人が語る「過去イチきつかった地獄の砂漠トレ」…金メダリスト・阿部一二三から刺激を受けた会話とは
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2024/09/05 17:04
完璧な1回KO勝利でWBC世界バンタム級王者を初防衛した中谷潤人。世界3階級制覇王者を作り上げた地獄のトレーニングと今後の展望を語った
毎試合、1カ月以上に及ぶロサンゼルス合宿は欠かせない恒例行事。衝撃のストマックブローで1回KO勝ちを収めたビンセント・アストロラビオ戦の前も、中谷はアメリカでルディトレーナーのもとで追い込んでいる。スパーリングと全力を出し切るシャドーボクシングを日替わりでこなすハードな内容だが、いつもよりスパーのラウンド数は少なかったという。
「スパー相手のヘッドバットで唇が切れてしまって、ちょっとできない時期があったんです。その分、全力シャドーが多かったですけど(笑)。でも逆にいい具合に疲労が抜けたし、他のボクサーのスパーを見ることで学べたこともたくさんありました」
臨機応変は、ルディトレーナーによって鍛えられたものだ。アメリカから帰国して日本で調整する際にはこんなこともあった。ロサンゼルスにいる師がリモートで見守るなか、相手をチェンジしながら12ラウンドのスパーを実施した後のことだった。
「俺のなかではまだ11ラウンド。もう1ラウンドやってくれ」
「メンタルはだいぶ強化されています」
そりゃないでしょ、と反発してもおかしくないシチュエーション。でも中谷は何も言わずに、追加の13ラウンドをしっかりとやり切っている。
「チャンピオンになろうが、ずっと生徒のままですから。指示されたことは、基本的に“はい”しかないですね。おかげでメンタルはだいぶ強化されています。ほかの人ならきっと無理っていうところを耐えられる自分をつくっているので」
師の無茶ぶりはいつものこと。想定しているゆえに、13ラウンドも「そう来たか」で対応できる。いくら体が疲弊しても、頭を回転させることができる。
実戦主体のトレーニングもさることながらルディトレーナーの無理難題を突破してきたことがリング上での臨機応変につながっている。
こう戦うと決めつけるのではなく、そのときの「現場感」で最善策を導きだしていくという強み。アストロラビオを1ラウンドで倒した流れが、まさにそうだった。
井上拓真との統一戦の機運も…
WBC世界バンタム級王者の中谷は10月14日の「Prime Video Boxing10」(13日と2日間開催、東京・有明アリーナ)においてメーンで同級1位ペッチ・ソー・チットパッタナ(タイ)と2度目の防衛戦を行なう。