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「一番恐れていたことが五輪で起きた」柔道・阿部詩“5年ぶり敗戦”にパリ激震…憔悴の取材ゾーンで一体何が?「普段はあんなに明るい阿部詩が…」
posted2024/07/29 17:45
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Naoya Sanuki/JMPA
誰もが金メダルを期待していた。
そして誰よりも彼女自身が金メダルを渇望していた。
パリ五輪柔道女子52kg級で五輪史上に残る番狂わせが起きた。
7月28日、史上初の兄妹同日五輪連覇の期待を背負って世界ランク1位のディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン)と対戦した2回戦。開始2分14秒で阿部詩は内股で技ありを奪ったものの、3分4秒に投げを仕掛けようとしたとに相手に懐に飛びこまれて谷落としをくらい、背中からたたきつけられた。まさかの逆転の一本負け。2連覇の夢が儚く散った。
パリに響き渡った阿部の絶叫
敗戦の瞬間、一瞬何が起こったか分からず唖然とすると、阿部は畳に突っ伏し大号泣。
「ぎゃぁぁぁ」「わぁぁぁぁ」
会場に響き渡る阿部の泣き声は、文字では表せない、さまざまな感情が入り混じっていた。
この日のためにどれだけの努力をしてきたのか。そして、この大会にどれだけ人生を懸けて挑んできたのか。
その思いがストレートに伝わってくるような光景だった。